第13話配信から一夜明けて
ブクマ15000突破しました! ありがとうございます!
それでは本編どうぞ
――――――――――――――――――――――――――――――
「反響凄いですね、レイさん。ネットでは今ネクサスの話題で持ちきりですよ」
ダンジョン配信から一夜明けた今日、レイは執務室でアオイと会話していた。
「まあそりゃあそうだろうね。もともとネクサスの注目度は高かったし、俺が雪ちゃんねるに事故で出てから連続で燃料投下したようなもんだからね」
ネット上では基本的に好意的な意見が多くみられるがここまで盛り上がるとやはりアンチらしき者も相当な数が湧いていた。
「そうですね。あ、雪ちゃんねるといえばそこから改めてお礼とお詫びを兼ねてコラボか何かさせてほしいと連絡が来ていましたけどどうされますか?」
「お礼とお詫び、か。別にいらないし断ってもいいんだけど多分そういってもあっちは引かないだろうなあ」
レイが世間に知られるようになったあの配信の影響で雪チャンネルを叩く声が一定数上がっている。事故とはいえ配信に映るつもりのない人物を配信に載せたことがやはり問題視されているようだ。ネクサスもこの騒動がある前から有名で結構な数のファンがいたためネクサスの一部ファンが雪を責め、それに雪ちゃんねるの過激ファンが激しく抵抗しているため今雪ちゃんねるは過去にない荒れ方をしている。
「そうでしょうね。配信者は人気商売なところがありますから」
「まあ受けとこうか。放っといても面倒なこと起きそうだし。日程の調整はよろしく」
「承知しました。それで...またダンジョンシーカーから連絡が来てます」
その名前を聞いてレイは大きくため息をついた。
「はあ、またか。それでまたクラン合同ダンジョン攻略の話?」
「いえ、それが...今度はレイさん個人と話がしたいとのことです」
「俺と? それもダンジョン攻略ではなく話がしたい、か」
予想外の内容にレイが暫し思案に耽る。
(この誘いはまず間違いなく今俺が話題になっていることが起因しているはず。で、あるならばダンジョンシーカーは世間と同じようにこの騒動があるまで俺の存在を知らなかったとみてまず間違いないだろう。公表していなかったとはいえ俺がネクサスのリーダーであることは隠しているわけではなかったし昔からの探索者なら知っている情報だ。ダンジョンシーカーの情報収集能力はそこまで高くないとみてもいいか。で、このタイミングでいつものダンジョン攻略の誘いではなく話がしたいということは何か方針を変えたか? 考えられる狙いとしたら俺の弱みでも握りたいといったところか? もとからあそこは胡散臭かったが最近は特にきな臭い。誘いは断るとして万が一のために備えはしとくか)
思案を終え、考えをまとめたレイが口を開く。
「とりあえずその誘いはお断りしといて」
「はい、分かりました。それでは失礼します」
用件を終えたアオイが執務室を出ようとする。そのアオイの背にレイが待ったをかける。
「アオイちょっと待って。渡したいものがある」
「はい、何でしょうか?」
不思議そうな顔をするアオイにレイは懐から指輪を取り出し渡す。
「......プロポーズでしょうか?」
予想外の反応を返すアオイにレイが吹き出す。
「は、はあ!? プロポーズなんかじゃないから!! 変な冗談言うなよ全く」
「ふふ、すいません。でも私は冗談じゃなくてもいいですよ?」
楽しそうに笑うアオイ。
「まったく...アオイってそんなキャラだったっけ? とりあえずその指輪の話するから」
呆れた表情をするレイ。気を取り直して指輪の説明をする。
「その指輪は特別製で持ち主に危険が及んだら自動で障壁をはってその上ネクサスメンバー全員に連絡が行くようにできてる。耐水性も十分あるからお風呂でも寝る時も肌身離さず身に着けるようにして」
「それは凄いですね...でもなんでそのようなものを私に?」
感心して指輪を眺めながらレイに尋ねるアオイ。
「ダンジョンシーカーもそうだけど最近きな臭いことが多いし。ネクサスはその強さから昔から敵がそこそこいるんだよね。直接狙ってくることは少ないけどチャンスがあれば叩きたいと思っている勢力は一定数いる。しかも今はネクサスが話題になっているからさらに狙われる可能性が高まってる。俺らは狙われても自分でどうにかできるけどアオイは違うでしょ? それにアオイはこの前の配信で名前も姿も晒してるから狙われやすくなってるから」
「なるほど、そういうことなら分かりました。ありがたくいただきます。それじゃあレイさんつけてくれますか?」
そう言って両手をレイの方に向けるアオイ。
「はあ!? 俺がつけるの!?」
何でと声を上げるレイ。
「いいじゃないですか。どの指につけてくれてもいいですよ? 私のお勧めは左手の薬指ですかね」
レイの抗議を軽く流し指輪をつけてくれるのを待つアオイ。
「そこは結婚指輪の位置でしょうが。そんな冗談を女の子が言うもんじゃありません! ...右手の中指につけとくね」
渋々とアオイの指に指輪を通す。
「ありがとうございます。どうです? 似合ってますか?」
笑顔でお礼を言って似合ってるかどうか聞くアオイ。
「はいはい、似合ってるよ」
呆れたようにほめるレイ。
「それじゃあ今度こそ失礼します」
「はーい」
指輪を受け取ったアオイが執務室を出ていく。
「はあ、全くアオイってあんなキャラだったけ本当に」
少し前まで一歩引いた位置で接してきてた気がするが、何か心変わりでもあったのだろうか。疑問に思いながらも距離が縮まったならいいことかと思うことにするレイなのであった。
sideダンジョンシーカー
「佐藤様! 佐藤様! ネクサスから返事が来ました」
「ようやく来ましたか。それで何と?」
「それが...謹んでお断り申し上げます。とだけありました」
「やはりですか。毎回毎回断られるこっちの身にもなってほしいものですねえ。まあいいでしょう。ネクサスが調子に乗っていられるのも今のうちです。全く探索者協会もネクサスなんか無視して我々にしたがっていればよいものを」
「あ、あの。本当にネクサスに喧嘩を売るおつもりですか?」
「ええ、そうですが。何か文句でもありますか?」
「い、いえ佐藤さんに文句なんて滅相もない。...ただ配信を見てるとネクサスの強さは相当じゃないかなと。特にSランクの3人は」
「全く誇り高いダンジョンシーカーのメンバーであるあなたが怖気づかないでください。確かにネクサスの強さは本物ですがあの配信で底は見れました。あんなものがリーダーをしているクランに負けるはずがありません。それに戦い方ってのは武力だけではありませんしね」
「さ、流石です! 佐藤様。それでは僕はここらへんで失礼します」
出ていく部下を見ながら佐藤は
(全く使えない部下を持つと困りますね。まあいざとなったら捨て駒にでもなっていただきましょう。さて、そろそろ準備も整いますしネクサスの皆様には一時の栄光に酔っていただくとしましょう)
未来の自分を想像しながら不気味に笑うのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――
更新遅れてすみません。最近私生活が少し忙しくて更新ペース落ちるかもしれませんが気長に待っていただけると幸いです。
【悲報】将来はダンジョン探索者になろうと約束した幼馴染たち、俺以外全員人外レベルの実力を身につけてしまう~いや、貴方も大概化け者ですよ!?~ @Ciel1024
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【悲報】将来はダンジョン探索者になろうと約束した幼馴染たち、俺以外全員人外レベルの実力を身につけてしまう~いや、貴方も大概化け者ですよ!?~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます