第12話下層ボス戦
500000PV突破&現代ファンタジー月間ランキング一位達成しました! ありがとうございます。
それでは本編どうぞ
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二つ名をいじられて怒っているユウカを宥めながらレイたち一行はダンジョンを進んでいく。やがて下層最奥、深層との連絡路――ボス部屋前の扉にたどり着く。
「ボス部屋前につきましたね」
【早すぎw】
【1時間半ぐらいでボス戦とかやばいだろ】
【しかも談笑しながらでこれだから本気出したらもっと早い可能性もあるっていう...】
【あれ下層って簡単な場所だったっけ?】
【下層で死にかけた俺って...】
【俺って才能ないのかな...】
【探索者視聴者たちが自信喪失してて草】
【ネクサスと比べたらほとんどの探索者が才能なんてないだろ】
【俺たちですら衝撃の配信内容なんだから現役探索者からしたらどれだけの常識を破壊されてるのか想像もできないわ】
【ボス戦楽しみだわ】
【下層ボス戦配信なんてここでしか見れないまである】
【めっちゃ貴重】
「じゃあ、ボス戦はまだあんま戦ってないレイとリキヤでいいな?」
そういうトウヤにレイとリキヤが了承の声を上げる。
「了解。じゃリキヤ、壁役は任せたぞ」
「OK! それじゃ行こうか」
レイとリキヤが先頭に立ちボス部屋に続く巨大な扉をゆっくりと開ける。学校の体育館ほどの広さの大広間の中央に巨大なハサミを持つ全長20mを優に超えるカニ型のモンスターが鎮座していた。
「あれはデスクラブですね。巨大なハサミによる攻撃と超高圧の水流ブレスが武器のモンスターです」
レイが視聴者にボスの特徴を伝える。
【でけええええ!】
【あのハサミ5m以上ないか!?】
【正確な大きさは分からんがそれぐらいありそう】
【食べるとしたら何人分になるんだろう? おいしそう】
【おい、とんでもねえデブが紛れ込んでるぞ!?】
【これ見ておいしそうは何かが壊れてるだろ...】
ボスのデスクラブがボス部屋に侵入してきたレイたちの存在に気づき水流ブレスを繰り出す。全員危なげなくブレスを回避し散開する。レイとリキヤはブレスを回避した流れのままデスクラブに接近していく。
接近してきたレイに対しデスクラブはその巨大なハサミをハンマーのように叩きつける。かわす素振りを見せないレイにデスクラブは命中を確信して傍観の姿勢をとっている他のメンバーに意識を向けるが、レイに当たる直前にリキヤがレイの前に現れて手に持っている成人男性の平均身長ほどもある巨大な黒い盾を構えハサミによる攻撃をしっかりと受ける。並みのタンクなら受けるのが難しいほどの鋭くて重い攻撃だがリキヤは表情一つ変えず当たり前のように防ぐ。
自慢のハサミによる攻撃が防がれたデスクラブは慌てて二の矢による攻撃を与えようとするがそれより早くレイの剣が足の付け根を切りつける。硬い外殻のため切り落とすことは叶わなかったが半分ほどまで刃が入る。レイが半分まで入った剣を抜いたと同時にデスクラブが再びハサミで攻撃するが先ほどよりも万全な体勢のリキヤが完璧なタイミングでパリィする。
攻撃を大きく弾かれ完全に体勢を崩したデスクラブに対し、レイは先ほど切りつけた足を再び剣で切り完全に切り落とすことに成功する。リキヤは盾と反対の手に持つ黒い剣でハサミの付け根を殴りつける。足を切り落とされ、少なくないダメージを受けたデスクラブは腐っても下層ボスといったところか、ハサミによる攻撃は通用しないと素早く判断を下し足が一本減ったとは思えないほど素早い動きで二人から距離をとりブレスを放とうとする。
しかしそれを読んでいたレイはデスクラブが距離をとろうとしたタイミングでリキヤに指示を出す。
「次下がってブレス来るよ!」
素早く指示に反応したリキヤとともにレイはブレスを躱しながらデスクラブに接近する。デスクラブはレイにブレスが当たらないと判断すると、接近されるのは仕方ないとレイを無視して比較的動きの遅いリキヤにブレスの狙いを集中させる。
ハサミによる攻撃よりもはるかに威力の高いデスクラブのもつ攻撃手段の中で圧倒的な威力を誇る水流ブレスをリキヤは盾をしっかり構えて正面から受ける。ハサミによる攻撃を受けた時よりもはるかに強い衝撃がリキヤに襲い掛かるがわずかに後退するだけで数秒続いたブレスを完全に受けきる。
ブレスが終わると同時にレイがデスクラブのもとにたどり着き攻撃を加える。デスクラブは苦悶の声を上げながら、しかし壁役のリキヤがまだ距離があるのをチャンスと判断し両方のハサミを使ってレイを集中的に攻撃する。しかしデスクラブの動きに慣れたレイは流れるような動きで攻撃を躱しデスクラブの足に攻撃を続ける。
その後すぐにリキヤもデスクラブに接近し再びリキヤがハサミによる攻撃をはじき、できた隙を二人で攻撃する展開になる。度重なるレイによる攻撃で足の半分ほどを失い満足に距離をとることもできなくなったデスクラブはこのままでは勝機が無いと判断し二人の攻撃をいったん無視して至近距離でブレスを放つという肉を切らせて骨を断つ作戦にでる。ブレスの準備をしていることに気づいた二人はそのまま倒してしまおうと攻撃の手を加速させる。
デスクラブは苦悶の声を上げるが何とか賭けに勝ち倒される前にブレスの溜めが終わる。回避するのは不可能と思われる距離からのブレス(ヒカリなら十分避けられるのであろうが)であったが溜めが終わって放たれる寸前レイは声を上げる。
「リキヤ!」
その言葉だけで即座にレイの意図を察したリキヤは盾を構えたまま少しかがむ。そのリキヤを足場にしてレイは空中に高く跳ぶ。その瞬間ブレスが放たれるが地面と平行に直線的にしか打てないデスクラブのブレスは空中にいるレイには当然当たらず、地にいるリキヤは涼しい顔で受け止める。
空中に跳んだレイはその落下速度を利用してデスクラブの甲羅を上から剣で叩きつける。ブレスを放つために攻撃を受けてすでに満身創痍だったデスクラブはレイのその攻撃で完全にその命を散らした。その場に倒れたデスクラブの甲羅からレイが地面に着地し視聴者に勝利を告げる。
「これで下層ボス討伐完了ですね」
【うおおおおおおおお!!】
【すげえええええええええ!!】
【最後のブレス空中でよけるとこ映画みたいだった!】
【ネクサス最強!ネクサス最強!】
【ブレス正面から受けるとか正気の沙汰じゃねえだろ】
【現実の映像か? これが...】
【二人だけで下層ボスしかもこの短時間で倒すのは流石に草】
【しかも倒そうと思えば別にソロでも倒せそうなんだよな】
【レイさん敵の動き読むの上手すぎでしょ!】
【名前呼ばれただけですぐに意図を察するリキヤもすげえ!】
【結論、どっちも凄いんだよなあ】
【俺が一瞬で殺されたデスクラブをこんな一方的に...】
【幽霊ニキは早く成仏してクレメンス】
【あれ、あのブレスって正面から受けられるんだっけ?】
【そっかあハサミとブレスは受け止めるか躱すかして至近距離からのブレスも空中によければいいんだあ。なんだ簡単じゃん】
【正気を取り戻せ!】
【また探索者連中がバグってて草】
【毎回じゃんw】
【そりゃあ(こんなの毎回見せられたら)そうよ】
下層ボス討伐に湧くコメント欄を尻目にレイは配信を閉じようとする。
「じゃあ下層ボス攻略も終わったことだしそろそろ今日はお開きにしますか」
【あ、そっか。今日は下層までか】
【あっという間だった】
【まだ終わらないで!】
【次の配信も楽しみだな】
【うわ! 同接20万人超えてる!】
【ほぼゲリラ的なダンジョン配信なのに20万越えはヤバすぎるw】
【SNSのトレンドもほとんど総なめじゃん】
「りょうかーい、アタシも久しぶりにみんなと遊べて楽しかったー」
「俺も楽しかったぜ!」
「僕もレイと一緒に戦えて嬉しかった」
「ん、次は深層行きたい」
「うへえ、深層ですか。あそこまでになると結構疲れるんであんまり行きたくないですね」
メンバー全員がそれぞれ返事をする。
「じゃあ最後に挨拶して締めますか! えー、今日は配信見に来てくださりありがとうございました。次の配信日も内容もまだ全く決まっていませんが見に来たい人は見に来てください。それじゃ、バイバーイ」
「「バイバーイ」」
ドローンカメラに向かって全員で手を振って配信は終わるのだった。
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