房中経絡術でサイコパスを撃退したよ

エモリモエ

pretty fly ?

皆さんは房中経絡術というものをご存知だろうか。


手のひらにはそこを押すだけでエッチな気分になる経絡がある。

通称アハンツボ。

名前の由来は言うまでもない。

押すだけで、相手が「あはーん」となるツボだ。

このツボの特性を最大限に生かして格闘だったり格闘的なことをするのが房中経絡術。

物凄い技なのだ。


なにを隠そう、この私、房中経絡術を少々嗜んでいる。

いえいえ、才能なんかはありません。

腕前はちょっとした護身術といった程度。


だけど。

こんな緊急事態、そう、学校に鉈を持ったサイコパスが乱入!

振り返れば血の海。

阻もうとして倒れた担任。

「きゃーッ」と逃げまどう同級生たち。

大変だ!

私ったらドンくさいから人質にとられちゃったよ、ががーん!

……って時には。


まず、後ろから羽交い締めにしてくるサイコパスの足の甲を思いっきり踏む!

そしてサイコパスの気が逸れたところを狙って、パシッっと手のひらを取り!

すかさずアハンツボを押す!


「あっ、あっ、あはーん」


サイコパスの体からへなへなと力が抜けていく。


よしっ。

見たか、アハンツボの威力を!!


縦も横も私よりふた回りは大きい男でも、アハンツボの前には赤子も同然。

さあ、いまのうちに物騒な刃物を取り上げてしまおう。

と思ったら。


ツボを押す力が緩んだらしく、シャキーンと復活サイコパス。

私に鉈を振り上げる。


咄嗟に、

「いやーッ」

ぎゅうぅ、っと押すアハンツボ。


すると、

「あは、あは、あはーん」

今度は強く押しすぎたのか、痙攣を始めた。


怖くなって弱めると、鉈を振りかざしてシャキーンとまたまたサイコパス。


慌てて押して、

「あは、あはーん」


ごめん、サイコパス。

私の実力じゃ加減はムリだ。


その後も「あはーん」とシャキーンを繰り返し。

警察が駆けつけた時には、もうグッタリ。


引き渡しの時。

サイコパスの潤んだ瞳となぜか目が合った。

すると名残惜しそうにこちらに手を差し出してくる……。


え?

キモチ悪いから、もう押さないよ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

房中経絡術でサイコパスを撃退したよ エモリモエ @emorimoe

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ