対魔王兵器?

三国洋田

第1話 魔王出現!?

「博士ぇ! いで博士ぇ! 大変っすよ!」


「どうした、さな助手!?」


「王都のすぐ近くに魔王とかいう侵略者が現れたらしいっす!」


「な、なんだってぇっ!? そういう時は、これだっ!! 大陸を跡形もなく吹き飛ばす爆弾っ!!」


「おおっ、すごいっす! これなら魔王を倒せるっすね! さっそく使うっすよ!!」


「うむ、では、さっそく仕掛けに……」


「やめなさいっ!?」


「なぜだ、はな助手!?」

「なぜっすか、はな先輩!?」


「そんなの爆破させたら、私たちまで死んじゃうでしょ!?」


「確かにそうだな!!」


「盲点だったっす!!」


「そのくらい気付きなさいよ!?」



「じゃあ、魔王をどうするっすか?」


「そんなの騎士団に任せておけば良いでしょ!」


「いや、うちでも対策を立てろって、上の連中に言われたっす」


「そうなの。なら、やるしかないわね」



「じゃあ、どうするっすか?」


「うーむ、そうだなぁ。そもそもその魔王とやらは、どんなヤツなんだ? 情報がなさすぎて対策を立てづらいぞ」


「そうね。何かないの?」


「諜報部の連中なら何か知ってるかもしれないっすね。ちょっと聞いてくるっす」


「ああ、頼んだぞ、さな助手!」



「聞いてきたっす。魔王は浮気をしまくっているクソ野郎らしいっすよ。しかも、浮気相手たちにバレてないらしいっす」


「そう、それは確かにクソ野郎ね。他には?」


「それだけっす」


「えっ? それだけなの?」


「はい、それだけっす」


「なんでそれしかないのよ!?」


「他は調査中だそうっすよ」


「なんで真っ先に浮気者であることが分かったのよ!?」


「なんか直感で分かったらしいっすよ」


「根拠、それなの!?」



「ふむ、ならば、あれの出番だな!」


「ええっ!? あれだけで何かやれるの!?」


「当然だろ! 俺は天才だからな! ちょっと待ってろ! 倉庫から持って来る!」


「さすが博士っすね!」


「ええ…… そんなバカな……」



「こいつだ!」


「誰っすか? その金髪美女は?」


「こいつは『泥ドロどろ沼修羅場発生装置・男性用』の『はなさないで』だ!」


「何よ、それ!?」


「名前通りのものだ!」


「いや、分からないわよ!?」


「そうか? ならば、説明しよう! 『はなさないで』は『はなさないで』と言いながら、浮気相手の前で対象に抱き着き、修羅場を発生させる人形だ!」


「ええ…… そんなの発生させてどうなるのよ?」


「嫉妬に狂った浮気相手に包丁で刺させるわけっすね!」


「その通りだ!」


「そんなにうまくいくの!?」


「そこは知らん!」


「ダメじゃないの!?」


「安心しろ! 包丁で刺されなかった場合は『はなさないで』が自爆するようになっている! これなら確実に倒せるぞ!!」


「自爆!?」


「ああ、そうだ! しかも、大陸を跡形もなく吹き飛ばす威力があるぞ!!」


「またそれっ!? そんなの爆破させたら、私たちまで死んじゃうって言ったでしょ!?」


「むっ、確かにそうだったな。仕方ない、自爆装置を外そう」


「ええ、そうするべきよ」


「では、作業に取りかかるか」



「はなさないで~、はなさないで~」


「おい、なぜ逃げるんだ、はなさないで? 自爆装置を外させろ」


「はなさないで~」


「もしかして、自爆装置を外さないで欲しいんすかね?」


「そのようだな」


「なんでそんなことになっているのよ!?」


「知らん!」


「変なものを作らないでよ!」


「何を言っている!? はなさないでは変なものではないぞ!」


「いや、変なものでしょ!」



「博士、どうするっすか?」


「ふたりではなさないでを取り押さえろ。その隙に装置を外す」


「分かったっす」


「仕方ないわね」



「捕まえたっすよ!」


「よし、そのままはなさないでくれよ!」


「分かったわよ」


「はなさないでぇっ! はなさないでぇっ!!」


「おい、暴れるなって! あっ!?」


「どうしたの!?」


「起爆スイッチ押しちゃった」


「ええええええええええええええええええええええええっ!?」


 (魔王も王都も)おしまい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

対魔王兵器? 三国洋田 @mikuni_youta

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説