ねこねこ仔猫 🐈

上月くるを

ねこねこ仔猫 🐈



花しどみ小さき仏の笑みゐたり

草木瓜や鳩をのせたる岳人像


みゆうみゆうとねこねこ仔猫いといとし

アネモネや綿矢りさでは若すぎる


さはさはと空を泡立てポプラの芽

露天湯の椎のひこばえゆるぎなし


青空と呼ぶには淡し春の空

高速のはるかの峡の春大根


芽柳や橋の向ふにべつの街

堀に突き出す船宿や柳の芽


城門の先の市役所青やなぎ

おのが芽を水に映せる糸柳


子のための元気を託す若緑

二之丸の美術館なる松の芯


たうたうと大河は流れ花杏

山翔ける悲恋乙女や梨の花


金縷梅の咲きたる庭の無音かな

まんさくや住み替る家の静謐に


たらの芽の丈高く在る山住ひ

たらの芽に西山迫る日暮かな




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