先生!はなさないで!
羽弦トリス
先生!はなさないで!
愛知県名古屋市の私立高校、桜山高校で世界史を担当している、
ある日、2年3組の竹中が事件を起こした。
竹中がカツアゲした生徒の親が反社だったのだ。
竹中は米異に、泣きついた。
そして、親と会い話しを付けることにした。
「うちの馬鹿がすいません。夫が単身赴任で海外に出てますので、何とか先生のお力で解決して頂けませんか?これは、気持ちです」
竹中の母親は米異に、現金を渡した。
米異は、
「こんな事されても、私は申し訳ないです」
と、言いながらスーツの内ポケットに札束を仕舞った。
「先生、太って強面だからサングラス掛ければ、間違いなく反社に見えるよ」
「僕が〜?先生が話しを付けるのか?」
「はい、頼むよ先生!それと、『僕が』と言っちゃダメだよ!相手とは、はなさないで」
「分かった。僕のかわいそう生徒だ。見放すことはしない」
当日
「今回はうちの息子が問題を起こして申し訳ありません」
米異はブランドモノのスーツにレイバンのサングラスを掛けていた。
相手の父親は今にも殴りかかろうとしていた。
すると、米異先生は封筒のお金を父親に渡した。
父親は、
「こういう事してもねぇ」
「うちの父は、
と、竹中が言った。
「……米異会?知らねぇな」
「ここは何とか、お父さんこれで何とかなりませんか?」
と、分厚い封筒を前に謝る。
「おいっ、ヒデキ、これで我慢するか?」
封筒の中身は、300万円だった。先日、竹中の母親から受け取った金だ。
向こうの父親も、あまりに米異先生が落ち着いて、きっと組織の上の人間だと勘違いして帰ろうとした。
「じゃ、竹中、僕たちも帰ろうか?」
「せ、……親父、はなさないでよ」
ちょっと振り向いた向こうの父親は怪訝に思ったが、喫茶店代を支払って事は無事に解決した。
帰り道。
「竹中、もうお前は来年受験生だ!」
「うん、オレも先生みたいな、教師になりたいな!」
大団円
先生!はなさないで! 羽弦トリス @September-0919
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