巡礼

日八日夜八夜

巡礼

すりきれた靴 は

涙 の 湖 を通ったよ

苦しみの敷かれた道を 歩いたよ


すりきれた 靴 は

時に 誰かの幸福な人生の物語に 憩うことも あった

通りすがりの ほほ笑みに 足の軽さを感じたこともあった


それから また

苦しみの道を 歩いて 登って 這い上がって

それでもしょっちゅう突き落とされて


どうして まだ終わらないんだ と 神様を呪った


また一日 もう一日 後一日 後もう一日


すりきれた靴は 歩いた 歩いた 歩いた 歩いた

もうここで 倒れて 終わりじゃないかと

思いながら たまにはそれを望みながら


枯れ葉の上を 凍った土を 季節の芽吹きを

かき分けたり 踏みつけたり 弾んで

歩いた


巡るけれど違っている道

巡っても巡っても意味を拾えない日々


そうして それでも すりきれた靴 は

いつか おうちに帰ったんだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

巡礼 日八日夜八夜 @_user

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ