72-デザート勝ち抜き戦・中
全てのポーズを覚えている事を確認してからラプラスが、これからが本番と言った事でパンケーキを狙う面々の表情が真剣な物へと変わる。
大人も子供もデザートとなると本気になるんだなと思って眺めながら、作ったホイップクリームを見つめ絞り袋をセットするのを忘れていた事に気付く。
「…大量に作ることだけ頭にあったから絞り袋に入れること忘れてたな。こうなるならレモン汁入れて固めの奴を作るんだった」
作ってしまったのでゴムベラを使用してホイップクリームを手早く絞り袋に詰め替え、綺麗に取りきったボウルと使用した泡立て器を食洗機に入れて洗う。
インベントリの中へとホイップクリームをしまえば、時間が止まってくれているので作りたての状態が維持できるのがいい所だ。
ラプラス達の方も中々3連続が上手くいかないようで失敗して残念そうな声が上がっているが、皆楽しんでいるので勝ち抜きゲームにして良かったという所だろう。
「折角だから二枚くらい焼いてどんな風になるか確認しておくか」
インベントリからメレンゲ用の卵白が入ったボウルを取り出すと、泡立て器で軽く掻き立て白く泡立ったのを確認してから砂糖を半分入れてから本格的に混ぜ始める。
少しずつ固くなりツノが立つのを確認しては、残った分の砂糖を入れてから更に卵白を掻き混ぜ続ける。
調理のスキルがあるから多少の補助があるのだろうが何をするにも手際よくやれるのは有難い事だ。
綺麗なツヤが出てメレンゲが出来上がれば、インベントリから生地の入ったボウルを取り出し加える。
メレンゲと生地を何回かに分けて泡立て器で切るように混ぜ合わせて後は焼くばかりになれば、大きめのフライパンを弱火で温める。
「お!またリーチになった人が居るね!あと1回頑張ってポーズを揃えるんだよー!」
「早くパンケーキ食べたいから絶対合わせて抜けるんだー!」
「私も今度こそ外さないんだから!」
『オレ様も次は当てるんだぞー!』
『僕だってー!』
『まさか、兄さんがまだ残ってるとは思わんかったよな』
『意外とあの吟遊詩人の方が上手くフェイントを加えてきて予想しにくいからだと思うでござるよ』
看板を持ってラプラスを睨むように見ているマオとウィンを見ながら、黒鉄と白銀がなにやら話をしているようだ。
子供達があと1回だと騒ぐ中、ポスカが青ざめておりジェスとマンダが取り敢えず一回目のポーズ合わせが上手くいったようで次に何が来るか予想している。
次のポーズをとると告げてから三つ数えてからラプラスが動く。
「ヤンキーのポーズ!」
「やったー!3連続正解ー!」
「くそー!鳥のポーズにしちゃった〜!」
『やったんだぞー!正解だぞー!』
『むむむむむ!当てられなかったー!!猫のポーズだと思ったのにー!』
『マオ兄様悔しそうですの…』
『ボクも、三回目正解した!』
その場に大股を開いてしゃがみ込みタバコを吸っているかのようなポーズをとるラプラスを見て、何となく板についているというかやり慣れているように見える。
可愛らしい女の子がラプラスと同じポーズをとったのを見て、何となく止めておけばよかったなと思ってしまう。
マオ達の方はウィンとセラフィ、しれっとアイオーンが抜け、女の子と一緒にこちらに来たのを見て椅子とテーブルを用意し、ナッツは食べれるか確認してからお玉で生地を掬うと円を描くように入れる。
その上に生地を重ねて入れると、蓋を閉めて三分ほど置く間に皿とナッツ、蜂蜜を用意する。
『ママ、ちょっとだけナッツそのまま食べちゃダメ?』
「ナッツだけ食べたいのか?じゃあ、この小皿に少しだけ盛るでもいいか?」
「お兄さん、鳥さんナッツ食べたいの?私があげてもいい?」
「じゃあ、頼んでもいいかい?これを食べさせてあげてくれ」
「分かった!」
先程しっかりとヤンキーポーズを決めていた女の子が屈託のない笑顔を浮かべながらナッツを受け取り、セラフィが食べやすいように一つずつ差し出している。
ウィンがフライパンの中がどうなっているのか気になって居るようなので、暴れない事を約束させてから頭の上に乗せてやる。
嬉しそうに尾を揺らしながら大人しく見ているので蓋を開けて膨らんでいるパンケーキを見せつつ、フライ返しを使ってひっくり返すと再び蓋を閉めて様子を見をみる。
『凄い膨らんでたんだぞー!柔らかそうだし食べるのが楽しみなんだぞー!』
「ウィン。アイオーンにナッツが食べれるか聞いてくれるか?俺じゃ会話ができないからな」
『任せるんだぞ!アイちゃん!ナッツは食べれるんだぞ?ふむふむ!問題ないらしいんだぞ!』
『この女の子、意外と小鳥の餌やりに慣れてる…?』
「この小鳥さん頭がいい子ね!ウチのピィちゃんにも見習ってもらいたいなぁ…」
ゲームをしている方は阿鼻叫喚の嵐が続いているが、パンケーキが焼き上がると皿に盛り付けているのを見て女の子がセラフィと一緒に椅子に座る。
一応1枚ずつ焼いたが食べてる間に次の奴が焼けるので二枚目からは自分の好みで自由に味付けが変えられるように、イチゴやマーマレードなどのジャムをテーブルに置いておく。
生クリームは中身を冷やす魔道具の上に乗せて置いておく。
「うわぁ!美味しそう!いただきまーす!」
「ずりぃ!俺も食べたいよぉ!また間違えたちゃった〜!
」
「やったー!3回連続成功っすよ!」
「ずるいですよ、ジェス!私、一回も合わせられてないんですけど!」
「ポスカはこういうの苦手だからな…」
『やったでござる!某も三回連続成功でござるー!』
『カーッ!2回連続ですら難しいっちゅうのに!』
『むむむむ!白姉様より先に抜けたいですの!』
『今度こそ当てるんだからー!』
段々と抜けてくる面々が増えてきているので、魔道コンロとフライパンを増やしてパンケーキの焼き作業にてんやわんやする事になるのだった。
新作ゲームでまったりソロ活始めました~気付いたら有名になってた、なんで?~ 神喰 羅刹 @crimsoncross
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