用心棒が勇者御一行に復讐する話
@kenta4510471
ただ優しくなりたい
目を開けると、そこは真っ白な世界だった、その真っ白な世界を見て一瞬鼓動が脈打つ
後ろを振り向くと並木道があり、木にはピンク色の花びらが無数に舞っていた。
その並木道にぽつんと1人の女性が立っているヒラヒラと純白の長い服を着ていて、麦わら帽子を被っている。髪はロングヘアーで青空のような髪色をしている、微かに甘い匂いが漂ってくる、
顔は麦わら帽子のせいかよく見えない。
急に風が吹くと彼女は帽子を押さえ、純白で長い服はより一層ヒラヒラと舞う
風が止むとこちらに気づいたようで何かを話そうとしていた。
「 … … … …」
うまく聞き取れないが、彼女はこちらに笑顔を向けているそんな気がした。
そして自然と目を閉じ、ゆっくりと目を開けると見慣れた木造の天井が目に入る
「またあの夢……」
男はゆっくりと上半身を起こす、髪をかき上げ、すぐ横の窓を開けると日差しが差し込む、あまりの眩しさに目を細める、外は同じような木造の建物が形は違えど並んでいる。真ん中には舗装された通路があり、テントを貼り食材、装備、薬など様々な物が売られた市場になっている荷馬車、兵隊、市民、そして、冒険者、傭兵が市場で買い物をしている。
だがそれは表の顔、深夜帯になると男客相手に体を売る者女性が雅やかに踊る踊場、賑わい喧騒が絶えない酒場
殺し、密売、詐欺、犯罪組織、そんな表と裏の顔がある街テルマルテ
男はベッドから起き上がり壁にかかっている時計を見る10時12分
男は顔を洗い自分を見つめる髪は黒髪ショートに目は虚な目をしている20代くらいの青年
部屋は木造で出来ている、男は服を着てベッドの柱に掛かってるナイフの入ったホルスターを腕に通し両脇に固定し上着を羽織る
外につながるドアを開けると薄暗い路地に出る。
市場とは反対の方向にいくと噴水がある広場に出る、そこでは子供たちが無邪気に駆け回り楽しそうな声が聞こえる、それを見守る母親又は父親たちは大人らしく世間話を楽しむ、それを横目に男は小さな酒場に入る。看板にはルクレールと書いてある。
男はルクレールと呼ばれる酒場の扉を開く
「いらっしゃい!あら、おはよ」
茶髪のショートヘアの20代後半の女性店主が明るく対応する
酒場には数人朝食を取るものがいた。
食欲をそそる匂いが充満し腹を満たしていても、腹が空くようなそんな感覚になるようだった。
「いつもの?ウィスキーはいる?」
男は頷きカウンターに座る
後ろのテーブル席の2人組の男が立ち上がり勘定を置いて外に出ようとすると1人の男が店主に向かい
「フランちゃん、今日も美味しかったよ!また頼むよ!」
フランと呼ばれた女性はまたねと明るく答えてた。
「はい、牛の煮込みとパンと、いつものウィスキーね、そうえばツヴァイ、昨日は顔出さなかったね?仕事?」
ツヴァイと呼ばれた男はウィスキーを一口飲みグラスを置いた
「朝まで仕事だったんだよ…ネズミの逃げ足が早くて」
「揉め事が絶えないね」
フランはテーブルを片しながら言う
ツヴァイは煮込みにパンを浸して食べる。
「今夜、ボスのところいくよね?」
フランはカウンターから身を乗り出し言った
「まぁ仕事だから行くけど、どうした?」
ツヴァイは食べながら言う
「夜食作っておくからさ!店のみんなと分けて食べてよ!」
にこにこしながら楽しそうな様子で話す
「了解、仕事行く前に寄って行くよ」
「お願いね!16時には出来てると思う!」
ツヴァイは頷く、正午近くになると酒場にはどんどん客が入ってくる、ツヴァイは気を遣い、食事を掻き込み、お金をテーブルに置く
フランと目が合いツヴァイは片手を軽く上げ、フランは笑顔で手を振る
酒場を後にしたツヴァイはテルマルテの職人街のモーガン武具店に足を運ぶ
扉を開くと鈴が鳴り髭を生やした老人が顔を出す
「なんだお前さんか」
「黒檀はまだ手に入らないか?」
ツヴァイはカウンターに片腕を乗せ店主と話す
「やはり正規の販売ルートでは見つからない。裏の販売ルートでは高値で取引されとる」
「相場は?」
「インゴット1つ5000万ウィルが妥当じゃろう」
「流石に諦めるか、とりあえず頼んでおいたナイフはできたか?」
店主は奥に行き箱を持ってくる箱を開くと、
白銀に光る2本のナイフが入っている
ツヴァイは手に取りナイフを逆手に持ち構え振る、
「軽い…いい出来栄えだ。ありがとうモーガンいくらだ?」
「金はいらないよ。また強盗が入ったら助けてくれればいいさ、しかしあんた、刀はどうしたんじゃ?前は刀だったじゃろ?」
「刀は質に入れた。長い武器は狭い場所では不利だしな」
「あの名刀を売ったのか!?名刀大蛇を!?」
ツヴァイは新しいナイフとモーガンから借りていたナイフを取り替える
「名刀なんて俺には恐れ多い」
なんて馬鹿奴と一言モーガンは言い、ツヴァイは店を後にする
職人街から市場に出ると食品を売っている店主から林檎を投げられる、ツヴァイはそれをキャッチし、店主を見る
「ツヴァイ!一個持っていきな!次も頼むよ」
ツヴァイは林檎を齧り頷く
次にツヴァイはコンクリートでできた大きな建物に足を運ぶ冒険者ギルド、冒険者または傭兵が仕事を斡旋しにくる場所、中には大勢の冒険者、傭兵が掲示板を見ている、奥には酒場もあるツヴァイは奥の酒場に向かい窓際の1番端のテーブルを目指す、すでに座っている人がいるがツヴァイを見つけると手を挙げる
「よぉ、ツヴァイ先月ぶりだな」
フードを被った男はウェイターを呼び、ウィスキーとエールをとウェイターに注文するとお待ち下さいと一言返ってくる
「それで?今日はどしたの?」
「いや、近況を聞こうと思ってな、最近の情勢と、裏の情報をくれ」
「ちょうどホットな情報があるよ」
フードの男がそう言うとウェイターがウィスキーとエールの入ったグラスをテーブルの上に置いた、ウェイターが離れると話を再開する
「まずは勇者様御一行の近況だが魔王討伐あと3歩ってとこかな、」
「勇者様御一行が進まないと黒檀、オリハルコン、の鉱石が手に入らないから期待したいな」
フードの男はエールを勢いよく飲みぷはぁ〜と息を吐く
「それで裏の情報だが、近々暗殺ギルド死風がテルマルテにくるらしい」
「死風?聞いたことないな」
「ツヴァイお前はほんとに世間のこと知らないな〜死風って言うのはなメンバーは3人、影、隠、月、って奴ら、もちろん姿を見たものもはいない」
「かなり強いのか?」
「さぁな俺も名前だけしか知らない」
「何故だ?そんな噂が流れるなら知ってそうな奴もいると思うが?」
「まぁ実際に見たやつは殺されてるからな」
「じゃあ誰が噂を流したんだ?」
とツヴァイは一言、そしてウィスキーを飲む、フードの男はおかしく首を傾げた
「狙いは?うちの組織か?
「それは分からん」
フードの男はエールを飲み干し、1人分のお金を置いていく、ツヴァイが情報料は?と言うがフードの男は死風の連中の正体教えてくれればいいさと言って酒場から消えていく
ギルドの方から慌ただしく走ってくる年配の女性がツヴァイを目にして、こちらに走ってくる
「はぁはぁ、ツヴァイ、はぁはぁ…うちの娘が…パイパーとか言う不良連中に連れてかれちまって助けてくおくれんか?」
かなり切羽詰まった様子だった。
時計を見る、仕事まで時間はある
「わかった、場所は?」
「今は多分闇人街のどこかに」
闇人街、密売、殺人、そして風俗関係の店などが集まる地域、ここでは何が起きても目を瞑るそういう掟が昔からある地域、そこにツヴァイが勤めている店もある。
「すぐ見つかるだろちょっと待ってな」
ツヴァイは冒険者ギルドを飛び出し、跳躍する建物の壁を蹴り屋根に登り、屋根の上を目にも留まらぬ速さで、駆け抜ける、
東に向かい、闇人街を目指
闇人街が近くなるとまだ明るい時間なのに、そこだけは暗く感じる、
ほどんどの建物は廃墟に近く家なき者が住み着く、ツヴァイは耳を澄ます
「………ぃゃ---」
「近いな、こっちか!」
ツヴァイは声が聞こえる方に走る
「いやぁぁぁぁぁぁぁ」
女性は不良男3人に服を剥ぎ取られて今にも肌が露出しそうだった。
「へへへへ、最初は俺でいいか?」
太った男がニヤけながら言う
「俺が先に見つけたんだ!俺からだろ!」
細身の男が太った男の肩を叩き言う
「なら3人一緒に相手してもらおうか!ひゃひゃひゃひゃ」
出っ歯の男が2人の間に入る
「お願いです…やめてください……お金ならあげます…どうかお願いします…」
女性は泣きながら悲願する、しかし男たちはその姿にそそられたのか、さらに服を脱がそうとし、自分たちの下半身を露出させようとする、
女性は襲い掛かる男たちの顔に恐怖し発狂する
「いやぁぁぁぁ!ママ!ぁぁぁぁぁぁいやぁぁぁぁやめてぁぁぁぁぁぁ」
まるで断末魔のように叫ぶ、
すると襲い掛かろうとした男たちの間に閃光が走った
「ん?なんだ?」
細身の男はその正体を確認すると女性の顔の横にナイフが刺さっている、そのナイフには血が滴っている。
すると太った男がゆっくりと倒れ女性に覆いかぶさる
「いやぁぁぁぁぁ」
男たちは太った男を見る。
頭にはその刺さったナイフが通る大きさの穴が空いていた。
男2人は振り返る、しかしそこには誰もいない。すると細身の男が出っ歯の男を指差す
「お、おい!お前首!首!」
「え……?何これ……?なんなんだよこれはよぉ!」
出っ歯の男の、首からは血が勢いよく噴き出る
そしてゆっくりと倒れる
その背後にはツヴァイがナイフを片手に細身の男を黙って睨む
「…………」
「なんだよぉ!お前は!ょ、よくも仲間!」
細身の男は脱ぎ捨てた装備から剣を取り出し構える
ツヴァイは女性の横にあるもう一本のナイフを拾う
「うぁぁぁぁ!この野郎!しねぇぇ!」
細身の男は無茶苦茶な動きでツヴァイに襲い掛かるがツヴァイはナイフで剣を弾く、金属音が響く、細身の男は一瞬何が起こったのか分からなく、気づいたら顎にナイフが今のにも刺さろうとしている、ナイフは顎を貫き口内に貫通し、さらに奥まで刺す骨が砕ける音が生々しくミシミシと鳴り、眉間の所まで行くところでツヴァイは振りかぶりようにナイフは顔面前部から出現させる。
「血だらけだな…」
血だらけの手を死んだ男の服で拭う
女性に覆いかぶさっている男を無造作にどかし、女性に手を差し伸べる、
「遅くなった。さぁ帰るぞ」
できるだけ優しく声かける、女性は安心したのか泣きじゃくりツヴァイに抱きつく、
ツヴァイは女性に上着を掛けて、女性を背中に背負い、冒険者ギルドまで送り届ける。
「本当に助かったよ…ありがとうツヴァイ」
女性の母親は泣きながら頭を下げる、
そして懐から金の入った袋を取り出す、
ツヴァイはウィスキー一杯分のお金を取り出す
「え?200ウィルでいいのかい?」
「後はその子に服でも買ってあげてくれ、せっかくの綺麗な服だったのになまた綺麗な服でも買ってあげてくれ」
娘の方も泣きながら頭を下げる
「本当にありがとうございました…あなたが来てくれなかったら私…」
ツヴァイは頑張って笑顔を見せる。
「日が落ちてきたから帰りも気をつけろよ、バイパーとか言う連中も、三人じゃないかもしれないから、念のため家まで傭兵か冒険者に送らせよう」
ツヴァイはそう提案するが、母親はそんなお金はと言うだがツヴァイは知り合いの傭兵を見つけた。
「おい、ランドール、」
男は酒場のテーブルに顔を埋めていた。
「ツヴァイ、ありがたいけど手持ちじゃ雇えないよ」母親は困り顔で言うが
「あいつには金は必要ない」
ツヴァイはランドールと呼ばれた鎧を纏った傭兵の近くに行き頭を叩く
「いてっ、んだよ、ってツヴァイかなんだ?」
「寝てるところ悪いな、あの親子を家まで送ってくれ」
親指で親子を指す、それを見るランドールは
「わかったよ〜、」
といい、テーブルに立てかけてある大きな剣を背中に背負う
ランドールはよろしくと親子にいい、ギルドから出る、
ツヴァイは日が落ちたのを確認し、仕事場に向かう為、再び闇人街に赴く、
時刻は午後17時を回り、闇人街にある店が開き始める、ツヴァイは踊りをを生業とする
[エンジェルハート]と書かれた雅やかに光店に入る、店の中に入るとカウンターに強面の男が立っているツヴァイに気がつくと
「ツヴァイさん!お疲れ様です!」
低い声で頭を下げる
「ボスは部屋に?」
「はい!部屋に居ますぜ!」
ツヴァイはカウンター後ろの階段を上がり、ボスがいる部屋に向かう、
部屋をノックすると「……入れ」と一言ドアノブを回し入ると赤髪で長身の男が豪華な椅子に座り、書類を見ている、部屋の中にはあらゆるコレクションが置かれている、壺、絵画、武器、モンスターの剥製が厚いガラスの中に並べらていた。
「フェルドさん、お忙しいところ申し訳ありません。」ツヴァイは頭を下げる。
「なんだ、2人しかいないんだから畏まるな」フェルドと呼ばれた男は笑いながら言う
「いえ、そんな訳には行きませんよ、情報を仕入れてきまして、なんでも、死風と呼ばれる、ギルドがテルマルテに向かっているとか」
「聞いたことはあるな、確か隣町のアクリスの領主の息子を暗殺したのが死風とか、俺ももう終わりか〜!」フェルドは椅子にもたれ掛かりクルクルと回る
「仮にうちの組織が狙いだとしたら、フェルドさんの首でしょうか?」
「いや、死風が単独で狙うわけない、雇われてるんだろうな、仮に俺だとしたら」
「ギルダルフの連中でしょうか?」
「いや、今のところはなんとも言えんな」
フェルドは机の引き出しからパイプを出し、葉を詰め、マッチで火をつける
「ふぅ〜まぁなんだ、来たら来たでそんときさ」
口から煙を出しながら言う、
「わかりました。もしフェルドさんが狙いなら俺が全力で止めます」
フェルドは頼むぞと言い、
「そろそろ仕事だ、そっちの方も頼む」
ツヴァイは頭を下げ部屋を後にし受付に戻ると、店は開店しており、客達がぞろぞろと入ってくる。
カウンターの男はリストを見て名前を確認する。
ツヴァイは店の奥の踊り場へと向かう、
踊り場にはステージがあり、前には大きな広場がある広場の真ん中にはお酒を提供する、円型のカウンターがある。
客達は広場に集まり開園を待つ、広場の端には4人の男達が腕を組み見張りをしている。
俺は4人に対して軽く手を挙げると、頭を下げる。
ステージの宴幕が上がり踊り子達が踊り出す、華麗に舞い卑しく舞う踊り子達は客達を喜ばせる、広場には、冒険者、傭兵、ならず者も不恰好に踊る。
そしてツヴァイは上客のエリアに向かう、そのエリアは個室になっており、高い金を出せば踊り子を独り占めできる、しかし、上客の酔っ払いは踊りを見てるだけでは満足はできない、上客エリアの部屋の一つが勢いよく開く、「ツヴァイさん!こっちこっちお願いします!」踊り子の女が手招きをする男は半裸の状態になっていた。
「お客様、退場していただきます」
ツヴァイは冷たい眼差しで言う
「高い金払ってんだぞ!ふざけるな」
顔を真っ赤にした、男がへろへろにものを言う。
「大人しく退場していただければ手荒な真似はしません」
「舐めるなぁ!ガキが!」
男はツヴァイに殴りかかるが、酔っ払いの攻撃は明後日の方向にいく、ツヴァイは呆れた顔で男の顔面を殴る、
「ゔがぁ、ぎざまなにぉ」
ツヴァイは男の首元を掴み上客エリアにある裏口へ放り投げドアを閉める。
「すいません!助かりました!」
踊り子はペコペコと頭を下げ小走りで控室に戻る、するとツヴァイの背後から声を掛けられる
「本当女の子達のヒーローね羨ましいわ」
髪を後ろで束ねたツヴァイと同じくらいの歳の女性が話しかける
「フィリスかステージは終わりか?」
フィリアと呼ばれた女性はええ、と言い、腕を組む、細身でかなりスタイルがいいフィリアはこの店では看板だった。
「看板娘も大変だわ、そろそろ引退してもいい頃よね」
「いや、まだ早いだろ」
「っていうかツヴァイはいつ私のお誘い承諾してくれるのよ!」
ツヴァイは日頃からフィリアに食事に誘われていた。
すると上客エリアの入り口から受付の男が慌ててツヴァイを呼ぶ
「ツヴァイさん!やばいですよ!フランさんがめちゃくちゃ怒っていらっしゃいましたよ!なんでも夜食がどうとかって!」
「あ、まずい夜食取りに行くの忘れてた!」
ツヴァイは慌ててフィリアにまた今度なといい、受付に走る
「もう!なんなのよ!」
フィリアは悔しそうに地団駄を踏む
ツヴァイは店の受付にいるフランを見つけるとかなり鬼の形相で立っていた
「あ!取りに来るって言ったよね!?なんで私が闇人街まで来なくちゃいけないのよ!すっごく怖かったのよ!?」
フランはツヴァイに詰め寄る
「悪かった人助けをしてて、わ、忘れてた」
ツヴァイは慌てふためく
「な〜にフランじゃないの久しぶり〜」
上客エリアの入り口からフィリアが顔を出す、ちょっと聞いてよと事情を説明する
「まぁ〜それはツヴァイが悪いわよね?」
フィリアはニヤニヤしながらツヴァイを見つめる。
「フラン、罰として明日の朝食器洗いはどうかしら?」フィリアが意地が悪そうに言う
「それは良いわね!明日よろしくね」
フランはフィリアの提案に大賛成し、機嫌を直した
「でも、ちゃんと来るか分からないから私が見張りで朝ルクレールに行くわ!」
お願いねとフランは言い帰ろうとするが
受付の後ろからフェルドが降りてくる、
「おぉ〜フラン!久しぶりだな、最近いけなくて悪いな」
フランは軽く会釈する
「久しぶりボス、忙しそうね!」
「まぁな、今帰りか?危ないからツヴァイ送ってやれ、今日はもう揉め事は起きんだろ俺の知り合いばかりだしな」
「わかりました」
「フェルドさん私もツヴァイに送ってもらいたいから帰っていーい?」
フィリアは甘えながらフェルドに言う
「お前はまだステージが残ってるだろ」
フィリアは頬を膨らまし怒る
「それじゃフィリア明日よろしくね!」
頬を膨らませながらフランとツヴァイに手を振る
外はかなり暗く、フランはランタンに火をつける
「もうこんなに暗く、早いわね」
フランは少し緊張しながら言う
「闇人街は灯りがあまりないからな、あると言えば店の明かりぐらいだろう」
「なんだか気味悪いわね」
「しかし、よく1人で来れたな」
ツヴァイはフランに言う、フランは怒りながら
「あなたにムカついてたら、いつもの間にか着いちゃったのよ」
するといきなり路地から酔っ払いが千鳥足で出てくる
「きゃっ!」
フランは反射的にツヴァイの背中に隠れ服を握る
「ただの酔っ払いだよ、動きにくいから離れてくれ」
ツヴァイは冷たく言うがフランはすっかり怯えて震えている
「闇人街から出るまで捕まってて良い?」
フランは上目遣いでツヴァイを見るが、
ツヴァイには照れた様子はなく無言で了承する
「…本当に優しいよね」
とフランは小声で言うがツヴァイは聞こえないフリをする
いくつもの路地を横切る、後もう少しで出口に辿り着こうとした途端、
ツヴァイの視界に白いヒラヒラとしたものが横切る、
ツヴァイはすぐに路地を見る、しかしそこには誰もいない、
「どうしたの?」フランは怯えながら聞く
「いや気のせいだ」
と進もうとしたとき風が吹くその風に乗って甘い匂いが漂う
「フランお前、香水つけてるか?」
「いいえ?お店あるしつけてないわ」
ツヴァイの心臓が早くなる
(この匂いどこかで)
「誰か助けて!」
辺りに響く女性の声
「ツヴァイ、声が」
フランはさらに震え出す、
「フラン、あそこに隠れていろ、それとこれを持っていろ、もし誰か来たらこれを投げて口と鼻を塞げそれであっちに走れば広場に出れるいいな?」
ツヴァイはフランに何かの球を2つ渡す
「ちょっと待ってよ…私怖いわ…」
フランはツヴァイの腕を掴み、涙目で訴える
ツヴァイはすぐに戻ると優しく腕を離す
廃墟のタンスにフランを押し込み
ツヴァイは声のする方にいく
しかし、一声限りで声がないため、場所が特定できず、路地を走り回る、
「くっそどこだ」
するとまた、風に乗り甘い匂いがする
ツヴァイは匂いの強い方向を探す
「こっちの方が濃いな」
ツヴァイは匂いの濃い方向に走る路地から路地へ走り回る、すると廃墟に囲まれた空き地に出ると、甘い匂いがそこに充満していた。
空き地の端を見ると、元々は白色だったのか薄汚れた長い服を着た女性が倒れている、髪は長く綺麗な青色それはまるで青空を見ているかのようだった、そして甘いくて良い匂い、ツヴァイは魅入ってしまい言葉が出ない、女性のすぐそばにはボロボロで汚れた麦わら帽子が落ちていた。
ツヴァイの心臓が今にも破裂しそうなくらいに脈打つ夢の内容を思い出す
「あの夢の……?」
ツヴァイは女に近づく、すると女は顔を上げツヴァイを見つめる
「やっと…あなたに…会えた…ツヴァイ…」
そして今度は美しく可憐な顔と太陽のように明るく照らしてくれる笑顔が見れた…
その出会いが彼と、彼女の運命を
絶望へと落とした………
用心棒が勇者御一行に復讐する話 @kenta4510471
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