【KAC20244】アリとキリギリス

🔨大木 げん

アリとキリギリス

 

 南関東に住む我が家の冬の暖房はまきストーブです。


 ですから薪の調達と薪割り、そして薪の保管が必須になります。薪を買うとなると・・・灯油代の何倍もかかってしまいますからね。


 今日はそんな薪割りのお話です。


 娘ちゃんは去年までせっせとお手伝いしてくれていましたが、今年は違います。


 以前は頼まなくても自分なりの楽しみを見つけて、遊びながらお手伝いをしてくれたのに、今年は「手伝って」とお父さんが、声をかけてもなかなか動いてくれません。


 理由を聞くと去年の終わりにささくれ・・・・た薪を手にぶっ刺して痛かったからだそうです。


 そういえばあったなそんな事。お父さんは他人事だから忘れてました。


 何度言ってもやってくれないので、『アリとキリギリス』の話をしました。


 夏の間にちゃんと薪のお世話をして蓄えないと、アリとキリギリスみたいに冬になったら凍えて死んじゃうよ、と。


 すると娘ちゃんは

「うん、私がアリでお父さんが、キリギリスだね」

 と言いました。


 なんですと!?


 この働き者のお父さんをつかまえてキリギリスとは!?


 娘ちゃんよ、学校のお勉強が苦手なのは知っていたけど、アリとキリギリスのお話を覚えてないのか!?昔読んであげたことあったよね?


「娘ちゃん、お話覚えてないの?アリが働き者で、キリギリスが遊び人なんだよ。だから冬に死んじゃうのはキリギリスの方で、アリさんは蓄えのおかげで、冬にのんびり過ごせるんだよ」


「うん、だからお父さんは夏一生懸命蓄えてるアリだけど、冬は私に薪を全部燃やされて寒い思いをするキリギリス。私は、夏は何も手伝わないキリギリスだけど、冬はお父さんの蓄えでぬくぬく過ごすアリなんだよ」


「だから最終的には私がアリでお父さんがキリギリス」


 そんなのってアリ!?


 ルールを変更するのってずるくない!?


 屁理屈を考えるのだけは、もの凄く頭がさえるね。


 ポカンとした顔をしたまま、ろくに言い返す事もできませんでした。子供の発想力って凄い!




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