ききみみほちょうき

隠井 迅

動物園の双子のパンダ

 春休みに、トーキョーにすんでいるジイジんチにアソビに行った時、日ヨウに、家ゾクで上ノの動物エンにゆきました。

 ボクらの一バンのお目当ては、もちろん、人気ナンバーワンのパンダさんです。


 上ノ動物エンには、パンダさんが四ヒキいます。

 お父さんパンダが「リーリー」で、お母さんパンダが「シンシン」、そして、子供パンダはフタゴで、お姉ちゃんが「レイレイ」、弟が「シャオシャオ」です。

 フタゴで、お姉さんと弟ってのはボクんチと一ショです。


 ボクとネエネはいつもは仲良しなんだけど、オヤツの時だけは別です。

 キノウも、バアバがくれたケーキが、ボクの方がチョットだけ大きかったので、ケンカになってしまいました。

 そん時、とっくみあいになって、ボクの右手のまんなかの指にできていたささくれがムケて、血がイッパイでました。なので、今日は指にバンソーコをハッているのです。

 そんで、キノウからネエネとは口をきいていません。

 なんかウマく話せないのです。


 ネエネが何を思っているのかワかればいいのになぁ。


 ネエネは、バアバと一ショ、ボクはジイジと一ショに、二レツで、パンダをみるためにギョーレツにナラんでいます。

 パンダは大人気なので、三十分くらいならばないと見れないってジイジが言っていました。

 そして、マっている間、ボクはジイジといっぱいおしゃべりをしました。


「ジイジ、ボク、いっつも思うんだけど、動物さんとおしゃべりできたら、動物エンは、もっともっと楽しくなるんじゃないかな」

「ター坊は、動物の考えが知りたいのかい?」

「うん、心の声が聞こえたらってトキドキ思うよ」

 そう言いながら、ボクはチラッと後をむきました。


「そんなら、これを着けてみな」

 カバンの中からトリ出したホチョーキを、ジイジはボクの耳にかけてくれました。

「これ、何?」

「ワシが発明した機械じゃよ。名付けて、〈ききみみほちょぉぉぉうきっ〉、これを使えば、動物の心の声が聞こえるのじゃ」


 ジイジは、エラい発明カでハカセなのです。


 もしかして、これを使えば、ネエネの気持ちがワかるかも。

 人間だって動物です。


 こんなコトを考えているうちに、ボクとジイジがパンダを見られる順番になりました。

 ボクらの目の前では、シャオシャオとレイレイが、メチャクチャじゃれあっていました。その双子のパンダのうち、セ中にミドリのマークがある弟のシャオシャオは手にササを持っていて、お姉ちゃんのレイレイがそれを取ろうとしています。

 まるで、キノウのボクとネエネです。


「ホンじゃ、ポチッとな」

 トツゼン、ジイジがキカイのボタンを押すと、ほちょうきからこんな声がきこえてきたのです。


「ささくれ」って。

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ききみみほちょうき 隠井 迅 @kraijean

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