【KAC20243】お題:箱 パート4
かごのぼっち
シュレディンガーのクロ
眼の前に大きな箱があった。
箱には人が入れるくらいの入口と小さな換気扇の様なモノがついている。
そしてその箱の前に小さな少女……の身体をしたドワーフの女性、そして僕の義姉でもあるマキナさんが腕組みをしながらふんぞり返っている。
僕は夜の勉強を終えてこれから眠りに就こうとしていた最中に、マキナさんに呼び出されたのだ。
「マキナさん、これはいったい何ですか?」
「おお、これか? よくぞ聞いてくれた、弟よ! これはマキナ=プロメットの技術と言う技術を集大成して作り上げた最高傑作【クロノス】である!!」
(……ん? この匂い……心做しか姉さん、酒臭いような?)
「クロノス!? マキナ姉さんはもしかして、ついに時空魔法を
「ふむ。 この中は真理にして虚無、キミの人生の全てが入っていると言っても過言ではない!!」
「真理にして虚無……えっと時空魔法、すなわちタイムマシン的なモノではないのですか!?」
「タイムマシン!? そんなチンケなモノではないわ!!」
「ではいったいどういった……」
「ふむ。 この中にはアルファにしてオメガ! 宇宙の始まりにして終わり! この世の創生にして終焉! 森羅万象にして有象無象の一切合切! 諸事万端の天地万物が入っておるのだ!! どうだ!? 凄いであろう!?」
「……それが本当なら凄いですが、姉さん……お酒、呑んでますよね?」
「ぎくりっ!?」
「あっ! 今、『ぎくりっ』って言いましたね!? 何か僕を騙そうとしてません!?」
「ぎくりっ!?」
「僕は茶番に付き合うくらいなら寝させて欲しいのですがねぇ? 姉さん?」
「そんな事言わずに開けてみたらどうだ!?」
「……じゃあ、開けるだけですよ?」
「ふふふ、開けるだけじゃ」
「何か嫌な笑い方しますね?」
「ぎくりっ!?」
「……はぁ、開けて見るだけですよ!?」
「うむ!」
─ガチャリ…
「……」
「っ!?」
「……何やってるんだ?」
「あ〜っ!! クロら〜♡」
「クロらってシロお前……まさか酔っているのかっ!?」
「ええ〜? 酔ってらんからいお〜? えへへへへ…」
「それにしてもお前、なんて格好してんだ!?」
「ん? ひらひらしててか〜い〜れしょ〜?」
「可愛いかどうかよりも……お前……ほぼはだ、おわっ!? おい!? 抱きつくな!! 僕の理性がもたん!!」
「クロ〜♡」
─バタンッ…
「──!? ──!?」
「ふふふ。 チョロいの?」
「ん。 チョロい♪」
「この中には僕の技術の粋が詰まっておる。 魔導フォログラムによる完全投影システム。 AIキャラクタープログラムによる対人システム。 音声自在操作によるスピーカーシステム。 感覚神経干渉魔法による体験化システムなどボクの持てる技術を無駄に詰め込んだおもちゃ箱! その名も『クロの巣』!!」
「マキナたんも悪よのぉ〜」
「シロ、オヌシもの?」
「「ぬぇへへへへへへ!」」
「一時間放置して中がどうなっておるのか……シロ、どう思う?」
「そりゃあ……むふふ♡」
「そうか、むふふか。 ……ボクのフォログラムも投下してみるか?」
「だっ! だめ───っ!!」
「フォログラムだから良かろうに?」
「だめだから!! いくらマキナたんでも……クロはあげないんだからねっ!? ぐすん……」
「シロ? 冗談だ……どのみちクロはキミに夢中なのだからな?」
「う、うん……ぐずっ……」
「ほれ、鼻が出ておる、ちーんしとかないとクロに笑われるぞ?」
「う、うん……ぶびゅるるるるるんっ、ぶびゅっ!」
「……」
─1時間後
─ガチャリ…
「──っ!?」
【KAC20243】お題:箱 パート4 かごのぼっち @dark-unknown
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます