「人生がつらい」と嘆くWeb小説はよくあるが、その先へ進む作品は少ない

 突き放した言い方になりますが、Web小説を読んでいれば、「人生がつらい。死にたい」と苦悩する作品に出合うことはよくあります。
 もちろん、そういう作品のそれぞれに、作者それぞれの個別的で切実な思いが反映されていることは間違いありません。
 それはそれで需要があるジャンルなのも確かでしょう。
 後ろ向きな気持ちになっている人間は時として、前向きな物語よりも、後ろ向きな物語の方に安らぎと救いを見るものだからです。

 しかし、そういった作品ばかりでは、身動きが取れなくなることも事実。

 本作は、主人公が「人生がつらい。死にたい」と憂えているところから始まりますが、単なる袋小路の絶望では終わらず、そこから1歩、また1歩と葛藤を深化させていきます。
 それがポジティブな方向なのか、ネガティブな方向なのかは、読者の皆様がご自身の目でご確認いただければと思います。