[花ユメ] 片栗舞宙 編

1.生年月日は?

1798年3月24日


2.出身地は?

魔法族の里(武蔵国荏原郡の辺境)


3.おいくつですか?

225だよ。


4.職業は?

今はホストやらせてもらってるよ。


5.ホストクラブの名前は?

Raspberry


6.血液型は?

O型だと思う。たぶんね。


7.身長は?

176cmかな。


8.家族構成は?

一人暮らしだよ。里では両親と兄がいたけどね。 


9.自分のチャームポイントは?

首のタトゥーかな?


10.好きな食べ物は?

ココアとチョコレートが好きだね。


11.嫌いな食べ物は?

茶碗蒸しは得意じゃないかもしれないな。


12.趣味は?

料理。まぁ最近は自炊なんてできてないんだけどね。


13.今のマイブームは?

夜の公園で散歩することだね。仕事終わりに当たる風が気持ちいいんだ。


14.集めているものはありますか?

アクセサリーかな。特にピアスと指輪はたくさん種類があるから集めてて楽しいよ。


15.口癖はありますか?

まぁ、ってよく言っちゃうかもなぁ。


16.特技はなんですか?

運動かな。だいたいのスポーツは得意だよ。


17.自分の長所は?

長所…接客が上手い…とか?


18.自分の短所は?

弱いとこ、すぐ逃げるとこ、悩んだら引きずるとこ…上げだしたらきりがないね。


19.昔と今の自分を比べて変わったところは?

多少は明るくなったんじゃないかな?昔はわりと堅物だったからね。


20.皆さんからなんて呼ばれていますか?

舞宙さん、舞宙くん、舞宙、たまに片栗様、くらいかな。姫の中にはマヒくんって呼んでくれる子もいるけど。


21.よく行く場所は?

魔法族の里の跡地と元主たちの墓。今でも花を手向けに行くよ。


22.朝起きてすることは?

鏡を見ることかな。


23.夜寝る前にすることは?

SNSの更新。基本毎日するけど、ラスソン取れた日とか締め日とかは特にね。


24.今欲しいものは?

新しい腕時計が欲しいかな。今まで使ってたやつ壊れちゃってさ。


25.今後やってみたいことは?

傑をコーディネートしてみたいな!

あいつの私服姿とか見たことないしね。


26.未来に行けたら何をしたい?

うーん…葵家がどうなってるか見る…とか?


27.過去に行けたら何をしたい?

あの時の戦場に戻るよ。もうあの人が俺を庇えないように、あの人の視界に入らない場所で戦うんだ。


28.もしも自分がもう一人いたら?

はは、最悪だなぁ。俺みたいなやつが二人もいたら絶対めんどくさいよ。


29.自分を動物に例えると?

え、なんだろう。…狼?狐?いや違うか。


30.一日動物になれるとしたら?

鳥。空を飛ぶのは魔法でもしたことなかったからしてみたいね!


31.一つ願い事が叶うとしたら?

皆の健康と幸せ……

ってあれ、これダメ?え、本音じゃないって?



……俺をおいて行かないでほしい。…はは、なーんてね。


32.幸せだと思う瞬間は?

俺の行動で誰かが笑ってくれた時はすごく嬉しいよ。友達でもお客さんでも関係なくね。


33.無人島に持って行くとしたら?

懐中電灯かな。暗くちゃ周囲の様子が分からなくて危ないし。


34.女性になったら何をしたい?

ヒールを履いてみたいね。あの高さで歩けるの、すごいと思うよ。


35.山と海、行くとしたら?

海。波の音が好きでさ。


36.苦手なことは?

ボトルのイッキは正直キツイかな…。まぁ煽られたらやるんだけどさ。


37.好きな人のタイプは?

芯がある人。自分の考えを持ってて流されない人はかっこいいと思うよ。


38.好きな人の髪型は?

ないね。似合ってればなんでも好きだよ。

ただ清潔感はあってほしいかな。


39.あなたの恋の必勝法は?

俺ちゃんとした恋愛したことないからなぁ…。

なんとも…。


40.何フェチですか?

指が綺麗な人はいいなって思うね。


41.好きな人とデートで行くなら?

海辺がいいかな。相手が平気なら船に乗るのもいいね。


42.好きな人と旅行に行くとしたら?

俺が暑いの苦手だから、旅行なら夏に避暑地に行きたいかな。軽井沢とか?


43.好きな人に作ってもらいたい料理は?

甘いものだと嬉しいよ。俺甘党だからさ。


44.一目惚れはしますか?

しないよ。


45.人を見るとき、ついどこを見てしまう?

目。あと手の動き。

手の動きって意外とその人の気持ちが表れてるものだからね。


46.結婚したらどこに住みたい?

はは、結婚ねぇ。俺には無縁な話だな。

でも住むなら都心にアクセスがいい場所が良いよね。


47.自分の人生を変えたと思う人は?

俺の人生において、一番影響が大きいのは葵だよ。

蓮哉様も、傑も、もちろん初代も二代目もね。


48.その人との思い出は?

蓮哉様には嫌われてたからなぁ。思い出って思い出はないね。最期に庇われたのはさすがにびっくりしたけど。

傑とは…そうだな、休みの日の夜、散歩してたときにたまたま傑と会ったことがあったんだよね。それでそのまま、二人で夜の花見に行ったっけ。いつもは紗希さんとほのかさんも連れてるのにそのときは先に戻っていてくれ、って言ってさ。俺と葵の昔の話とか、俺や傑の最近の話とか、普段話さない分盛り上がったんだ。すごい楽しかったよ。


49.許せない人はいますか?

いないよ。でも強いて言うなら…いや、やっぱなんでもない。


50.木五倍子美晴さんのことをどう思いますか?

明るくて素直ですごく良い子だったよね。未来から助けに来てくれたなんて、よほど傑のことが好きだったんだろうなって思うよ。ところでどうやってタイムスリップしてきたんだろう?魔法族がまだ生きてたのかな。


[50.木五倍子美晴さんのことをどう思いますか?]

素直で良い子だよね。キゾクの魅力を夢中で話してきた時は驚いたけど、それだから傑たちの運命を任せられたんだ。この子なら傑たちを助けてくれる、俺には出来なかったことを成し遂げてくれる、ってね。


51.葵傑さんのことをどう思いますか?

あいつはだいぶ変わり者だよね。初めて会った時は口は悪いし愛想はないし、なんだこいつって思ったもんだよ。でも昔の自分とか、蓮哉様とか…たくさん重なる部分があって。今の性格に変わったときは病気を疑ったよね。人ってこんなに変われるの!?って本当にびっくりしたよ。でも今の性格で落ち着いてからもなんか俺だけ塩対応なんだよね〜。そこは気に食わないかなぁ、なーんて。…けどまぁ、ほんとに俺が限界でふらふらしてるときは、なんでだか気づいて心配してくれるんだよね。そこはちょっと嬉しいかなって。


52.藤宮紗希さんのことをどう思いますか?

あの子は本当にすごいと思うよ。あの歳であの忠誠心の高さは目を見張るものだよね。本来なら高校を卒業したばっかりの年齢でしょ?同じ年代の子と比べても、一段としっかりしてると思うよ。傑も身を任せてるみたいだし、執事が紗希さんで本当に良かったと思うな。


53.竜胆ほのかさんのことをどう思いますか?

努力家だと思う。もちろん紗希さんもだけどね。でもほのかさんは声が出ないなりに、傑の役に立とうとしてる。紗希さんのことも守ろうとしてるように見えるし。声が出なくなったのは彼女のせいじゃないんだろうに、そこをカバーしようと頑張ってる姿は惹かれるものがあるよ。大きなスケッチブックを抱えてるのも可愛らしいよね。


54.もあてゃさんのことをどう思いますか?

なんというか…初めて会った時は、珍しいタイプの子だなって思ったな。純情、っていうかさ。基本夜の歌舞伎にいるような子は、心が疲れちゃってたり夜の事情に対して恐れてない子が多いイメージだったんだけど、彼女は違ったよ。心は誰よりも強いし、自分の意見を持ってるし、事情への知識も、危険性も、ちゃんと理解して適切な距離を保とうとしてた。そんな彼女が、恐怖に泣いてた夜に出会ったんだ。ほんと、もあちゃんが泣くなんて余程のことだったんだろうね。


55.一緒にお酒を飲むとしたら?

このメンツじゃ傑しかいないよね。ほのかさんと飲んでもいいけど、それこそ傑に殴られそうだし♪

あ、でも成人した美晴さんとも飲んでみたいかな?


56.一緒に旅行に行くとしたら?

美晴さんと一緒だったら楽しいだろうなぁって思うよ。


57.ライバルにしたくないのは?

傑。なんというか…あいつは頭が良いから、あの手この手でボコボコにされそうだよね。


58.一日この中の誰かになれるとしたら?

傑…くらいしか…ねぇ?

女性になりたいっていうのはなんかアウトじゃない?


59.怒らせると怖い人は?

ほのかさん。普段そんな姿を見せない分怖そうだなって。


60.誰が一番運動神経がいいと思いますか?

俺もできる方だけど、傑も万能だからなぁ…傑の方じゃない?


61.この人にこれだけは言いたい!ということは?

もあちゃん、急に無言で近寄ってくるのはちょっと怖いな…。なんかしちゃったかなって不安になるよ。


62.好きな季節は?

秋。暑くないのが好きだね。


63.生まれ変わるなら何になりたい?

人間。終わりがないのは苦しいからね。

…今こんなに辛いとか言ってるのに、また人になりたいと思っちゃうんだから俺も馬鹿だな。


64.10年後の自分はどうなっている?

どうだろう、まだホストやってるのかな。

まぁホストやってたとしても、もうRaspberryにはいないだろうね。年取らないの怪しまれちゃうから。


65.待ち合わせに相手が遅れたらどれほど待てる?

んー…人によるかな。

基本は一時間くらいなら待てるよ。


66.一人の時間は何をして過ごす?

姫たちへの連絡とかかな。たまに自炊したりもするけどね。あ、最近は姫からオススメされた漫画を読んだりもしてるよ。


67.犬派と猫派どちらですか?

猫だね。犬も好きだけど、猫の丸くなってる姿は特に可愛いと思うよ。


68.占いを信じますか?

そこまで信じてないね。


69.昔の自分に言いたいことは?

覚悟だけあったって、実行できなきゃ意味ないよ。

ってだけ。


70.お祭りなど賑やかな場所は好きですか?

好きだよ。でもそこに進んで混ざるかって言われたら分かんないかな。そういう雰囲気は見てるのが好きなんだよね。


71.今とは違う職業に就くとしたら?

保育士さんとか幼稚園の先生とかは大変そうだけど興味はあるかな。

子供、好きなんだよね。


72.毎日の楽しみにしていることは?

仕事終わってアフターも終わって、やっと帰ってきていろいろ片付けて、寝る前に日の出を見ながら煙草を吸うことかな。太陽と風、鳥の鳴き声、たまに月と星も、全部が空で混ざってる光景は不思議な気持ちになるよ。


73.恋をしたらどうなる?

何事も相手に当てはめて考えちゃうかも。

いつも頭の中を占めてる感じ。


74.言われて嬉しい言葉は?

身だしなみには気をつけてるからね。服とかアクセサリーを褒められたら嬉しいよ。


75.戦後、ホストを始めるまでは何をしていましたか?

葵の屋敷に帰ることもなく、一人で廃人みたいな生活してたね。当時に睡眠薬とかエナドリがあったら終わってたなって感じ。

…実は戦いが終わった後、そのまま葵の墓まで蓮哉様を運んだんだ。それにいつも手を合わせに行ってたな。

生活は今までの給金でなんとかしてた…と思う。

バイトとか仕事はその時その時でちまちまやってたかな。


76.お兄様はどんな人でしたか?

兄さん?兄さんは…俺より魔法が強かったよ。

あと、他人との距離感が近かったかな。男性でも女性でもすぐ呼び捨てにするし、仲良くなるし。あといつもポジティブだったと思う。

もし今も生きてるなら…何してるのかな。


77.いつから葵傑さんと交流するようになりましたか?

傑が十七のときだね。でも当時は仲良くってわけではなかったかも。あぁまだ魔法族なんていたんだ、ってそれだけで、邪魔そうな目で見られたよ。はは、たいぶ鬱陶しかったんだろうな、俺。


78.どれくらいの頻度で葵傑さんと会いますか?

週一くらい?会おうとしなくてもなぜか会うんだよね。


79.Raspberryの皆さんとは仲が良いですか?

仲良しな人はいるよ。ただ全員ではないね。

話す時ちょっとピリつく人もいるし、正直苦手で関わらない人もいる。ホストとしての売り方が違うっていうのと、元々の性格とか言葉遣いが合わないって感じかな。


80.魔法が使えなくなった時どう思いましたか?

もうすごい焦ったよ。呪文を唱えてみても何も起こらないし。魔法が使えなくなるなんて、聞いたこともなかったしね。


81.最後に使った魔法はなんですか?

最後…破滅の魔法だったかな。

あの人が死んでからやっと敵が憎くなって、それでね。魔法族の里は、その時滅ぼしたんだ。

…あれは一番強力な魔法だからね。今思えば、あれで魔力が尽きたから魔法が使えなくなったのかもしれないな。


82.ホストで稼いだお金の使い道は?

服とかアクセサリーとか、美容系に使ってるよ。

あとは…キゾクとか魔法族とか、革命戦争とかの石碑を建てるために寄付してるね。彼らが生きて戦った証を、なんとしてでも後世に残したくてさ。弔いと償いも兼ねて、ね。


83.お店にノルマなどはありますか?

ないよ。自分で目標は立ててって言われてるけどね。でも幹部は売上に基準が設けられることもあるから、今月はいくら行ってとか言われる月もなくはないけど…。


84.同伴とアフターはどちらが好きですか?

好き、か…。うーん…同伴かな。アフターは姫が泥酔しちゃうことが多くていろいろ大変だからね…。でも最近はミーティングで時間取れなくて、よほどのことがなければ同伴になるから助かってるよ。


85.ホストとしてNo.1になりたいですか?

そりゃあ働いてるからにはね。姫たちも頑張ってくれてるし、目指すことはしたいよ。それに、オーナーからも圧かけられちゃってるし、何より副主任として売上伸ばさないと降格になるしね。


86.何営業をされていますか?

色営だね。初回来店のお客様には友営。指名されたら徐々に色営に変えてく感じかな。新人のときは友営一本でやってたよ。


87.苦手な営業はありますか?

オラ営一択だね。俺がやるのはもちろん無理だけど、あれは見るのも苦手なんだ。自分のために稼いで十万、百万単位の金額を一夜で使ってくれる姫に対して、暴言吐いたり偉そうな態度とるのは良さが分からないっていうか…。それでトラブったところの仲介に入ったこともあるから尚更かな。

まぁそれに喜ぶ姫がいるっていうのは分かってるんだけどね…。


88.ヘルプ時代はどのような感じでしたか?

盛り上げて、飲んで、盛り上げて、飲んで、の繰り返し。基本は指名されてるホストを引き立てたり指名不在時の繋ぎ役だから、姫からは良く思われないし邪魔者扱いされたね。あ、指名された先輩の繋ぎでヘルプについたとき、姫から逆上されてびちゃびちゃにされたことがあったな…。その先輩が今の支配人だし、ああいう子を上手く扱える人が人気になるんだなって思うよ。

こんな俺だけどまあなんとかやってきて副主任まで来たって感じ。


89.枕事情について教えてください。

え、枕の話する?まぁ…俺色営だし、何度かはあるよ。

でも最近は全然。アフターだけで終わるとか、ミーティングがあってそもそもアフターに行けないことの方が多いね。正直ノリ気じゃないから助かってるけど、枕が売上に繋がることもあるから難しいかな。

…ただ、枕はしなくても、色営してる以上せざるを得ないことっていうのはあるけど。


90.もう一度魔法を使えるようになりたいですか?

叶うなら、もちろん。

魔法が使えれば何かあったときに人を助けられるかもしれないからね。でもあれか、隠して生活するのも難しいか。


91.事故などで致命傷を追ったことはありますか?

あるよ。革命戦争のときの傷痕は今でも体中に残ってるんだ。死にかけたことも何度かあったね。


92.その場合、どのように回復するのでしょう?

治癒魔法を使ったり魔法薬を飲んだりしてたよ。

それが出来なければ、回復は人間と同じだけ時間がかかるね。

俺は攻撃特化だったから治癒魔法が下手でさ。あんまり治らなくて大変だったよ。魔法薬飲むにしても、あれ吐いちゃうくらい甘くて…なんだろ、シロップ直飲みしてるみたいな喉が焼ける甘さ。なるべく飲みたくなかったな…。


93.圧倒的年下のもあてゃさんへ想いを寄せているのはなぜですか?

想いを寄せてるって表現が正しいのか分からないけど…嫌なことからも逃げないで頑張ってる姿が好きだと思ったよ。そりゃ夜の街にいたりとか、そういう活動はしないに越したことはないんだけどね。でも、彼女は彼女なりに覚悟を決めて、やるって決めて、それからは涙なんて見せない。強い子だと思ったんだ。あと基本的に媚びないからね、あの子。この界隈では珍しいんだ。そういうブレないところが気になったのかもしれないな。


94.もあてゃさんを彼女にしたいですか?

ええ!?いやいや無理無理。

絶対無理だし、さすがに望んだこと無いよ。

ホストの本カノって立ち場だいぶ危ないし、そもそも彼女とか考えたことないから…。


95.無人島に行くなら誰を連れて行く?

美晴さんかな。あの子はリアクションが大きいから、無人島でも一緒にいれば楽しそうだし。


96.今日人生が終わるなら何をする?

皆とぱーっと遊びたいね。最期はどこで過ごそうか…意外と決まってないもんだな。


97.1番好きな花は?

あじさいは好きだよ。土によって色を変えるの、不思議だよね。品種1つで造形も変わるし、どれもすごく綺麗だから毎年新宿の御苑に見に行くんだ。


98.くすぐりは弱いですか?

これ言ったら自爆しない?

まぁ…脇腹あたりはちょっと…あれだけど…それ以外は特に。


99.大切な人が亡くなったら後を追いますか?

追えないよ、勇気が足りない。…そうじゃなきゃ、今ここにいないしね。


100.今、幸せですか?

うん。仕事もあるし住む場所もあるし、何より親しい人たちに囲んでもらってるからね。幸せ者だよ。



100の問い部屋、脱出完了。









































部屋から出た舞宙は、先ほどなんでもない、と答えを濁した問いを思い出す。





許せない人。






そんなのあの人一択だ。


あの人が守ったから、俺は生きてるのに。


あの人が死んだから、俺は今もずっと、貴方が心から離れない。



…あの日からなんの成長もないまま、百年が過ぎてしまった。




なぜ私を守ったのですか。


貴方は、私をあれほど嫌っていたでしょう。



不老不死の魔法族。その年老いない姿は気味が悪い。魔法で何をされるか分かったものじゃない。

恐ろしい、近寄るな。


そう言ったのは貴方じゃないか。


毛嫌いして、嫌悪も隠すことなく、態度に示して。


それなのに、最期は俺を庇って。


今考えたって意味が分からない。あの行動の意図は、きっと俺には一生分からない。



私が貴方を守るために、どれだけの人数を散らしたか。

どれだけの人間が、魔法族が、死んでいったか。


貴方だって見ていたはずだ。

真っ赤になった私のことも、雨で土に染み込んでいく血も汗も、涙も。


貴方が死ねば。貴方がいなくなれば。

そんなもの、全て無駄になるというのに。




蓮哉様。

私は…俺は、貴方を守りたかったんだ。



どれだけ嫌われていても、俺は俺なりに、貴方が大切だったのに。



一体、どうして。







願わくば、貴方の持つその残酷な血が、あの変わり者の男に、受け継がれていないことを。






「にしても、いつ終わるのかなぁ。これ」





俺と同じ道を、あの二人が歩むのはあまりにも酷だ。

今後一生、死ぬまでずっと、永遠に鎖に繋がれて、後悔して、苦しんで、生きていく。


あいつ自身だってそうだ。

眩しいほど生に希望を持ってる。

葵傑は、死ぬべきじゃない。

あいつは幸せを築いていけるだろうし、俺はその幸せに笑うあいつに夢を見たい。

生きてほしい。



だからこそ、

最悪の結末は絶対に変える。



残りの魔法具の全てを使っても、何度時を越えても、何度繰り返しても、どんな未来を生んでも。


あいつが辿る結末を、あいつが手にする選択を。


自己を犠牲にして周りを救うあの残酷さを、

俺が止める。


それが、俺ができる唯一の償いと救いだと思うから。




「今回は上手くいくといいけど」




彼女が来てくれたのは奇跡だった。どうやって未来からここに来たのかはわからないけど、彼女は帰る時、俺にそっくりの人が連れて来てくれた、と言った。

ひょっとして、未来の俺だったりして。

だとしたら、その世界線の俺はまた傑を失ったのか。


でもとりあえず今は、明るい花のようなあの子のおかげで、あいつは生きてる。

これから先、どうなっていくのか。



また失敗なのか、今度こそ成功なのか。





…失敗したら、また戻らなくちゃ。


成功できたら、そのときはあいつの生活を、花でも宝石でもなんででも、綺麗に飾って、祝って、俺自身が喜びたい。



なんて、まだ明日すら見えない未来に、理想を語ってみたりして…ね。



舞宙は身なりを整え、ネクタイにかけた十字架を煌めかせながら、また今日も鮮やかな夜に溶けていく。

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[自創作] 100の質問!!〜知られざる内側を暴いてみた〜 緋川ミカゲ @akagawamikage

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