太陽が燃え尽きる頃に【800字】

蒼井シフト

箱船で運びますね~😆

 太陽が、燃料の水素をほぼ燃やし尽くした。中心核は自重を支えきれずに潰れ、外側のガスは大きく膨張した。水星が飲み込まれて久しい。地球の海も、間近に迫った太陽に炙られ、すっかり干上がった。どこまでも続く砂漠。絶滅を待つばかりの日々。


「遅くなりました~」

 そこへ「星の人」の宇宙船が現れた。もっと早く様子を見に来る約束をしていたが、忘れていたらしい。


「メリッサ、生存者はあなただけ?」

「いえ。他にもシェルターがあるはずです」

「古い記録によると、地球には『男』というのもいるんですね。そちらも助けた方が良いですか?」

「お願いします!」


 生き残りは約2千人しかいなかった。星の人の箱舟で、別の恒星系に運んでもらう。

 人間、落ち着くと余計な欲が出てくる。やることが無いのも災いして、男たちが強引にアプローチしてくるようになった。

「乱暴してきて困るんです」

「助けなければ良かったですね~」

「そういう訳にもいかなくて。何とかしてくれませんか?」

 星の人は、男たちをボコボコに痛めつけた。


 居住可能な惑星に降ろされた。

「あとは自分で頑張ってね」

「本当にありがとうございます!」

 こうして星の人は去っていった。


 さて開拓するか、とメリッサが周囲を見渡すと、女しかいない。

「男はどこ!?」

 星の人のメモが残っていた。

“脅しても痛めつけても、どうやっても皆さんに這い寄ろうとするので、男どもは別の場所に置きました。外側の、赤くて寒い惑星にいます。これで安心ですね。グッドラック!”

「グッドラックじゃないよ! 何も分かっていないな、星の人!」


 メリッサが天を仰いで嘆息すると、仲間が一人の少女を連れてきた。驚くほど美しい顔。でもひどく薄い。

「この子、男の娘です!」「なんと!」

 少年は、困惑した表情。

「私、心は女なので、皆さんとは・・・」

 メリッサは、少年の両肩をガシっと掴んだ。

「君の力が必要なんだ!」


 地球人類はギリギリのところで、滅亡を回避した。

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