第20話 ヌードデッサン

※注意※

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この作品には、グロテスクな表現が含まれております。

苦手な方は、ご注意ください。

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16歳の女子高生、まりんは部活を終え、家に帰ろうとしていた。


「今日はけっこうハードな練習だったな~、すっごい疲れた!」


外も暗くなったので、早く帰ってゆっくりしようと考えながら家路をたどる。

その時、突然後ろから何者かに襲われ、口にガーゼを当てられる。


「ん!?んんんん・・・・」


そのまま、まりんは気を失った。




まりんが目を覚ますと、そこには見知らぬ天井が見えた。


「こ、ここはどこ?」


動こうとすると、手と足を鎖で繋がれている事に気づいた。

しかも、下着だけの状態で繋がれていた。


「な、なんで!?私、どうなったの?」


何とか逃げ出そうとするが、鎖をほどく事は出来ない。


すると、1人のベレー帽を被った男が来た。


「目が覚めたかい、お嬢さん」


不気味な笑み、不気味な声、明らかに普通の男ではない。


「お、おじさん、何でこんな事するの?

早くほどいてよ。あと、私の服返してよ!!」


まりんは怯えながらも、何とかしようと必死で抵抗した。


「心配しなくてもいいよ。君は今から、ヌードデッサンのモデルになってもらうだけだから」

「な、なに言ってんの?そんなの嫌に決まってるじゃない」


すると、男は手術で使うメスを取り出した。


「い、いや、何するの!?」


男はまりんのブラを切り、さらにはパンツも切り取る。

まりんは、素っ裸の状態になった。


「い、いや、最低!変態!」


すると、男は何故か不思議そうな顔をして言う。


「何言ってるんだい?まだ裸になっていないのに、恥ずかしがること無いじゃないか」

「な、なに言ってんの?思いっきり裸じゃない、いいかげんにしてよ!!」


まりんは怒鳴りまくるが、男は冷静に話す。


「いやいや、これから裸になるんだよ」


そして、男はまりんの喉下にメスを近づける。


「ちょ、ちょっと何するの?や、やめてーーーーーー!!!!」


まりんの叫びも虚しく、体にメスを入れられる。


「イヤーーー、痛い、やめてーーーーーーーーーーー!!!!!」


まりんの悲痛の叫びが飛ぶ。

しかし、男は一切動じず、少しずつへそに向かってメスで切って行く。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」


まりんは大量の涙を流しながら叫ぶ。

しかし、体はゆっくりと切られていく。


そして、へそまで切った後、その切った箇所をゆっくりと手で広げていく。

メリメリ、メリメリと、ゆっくりと広げながら、まりんの内臓を眺める。


「おお、美しい!これぞ、真のヌード!

私が求めていた、真の芸術!」


男は、恍惚の表情を浮かべながら、内臓をまじまじと見ている。

時に内臓を指でなぞったり、匂いを嗅いだり、ほほを摺り寄せたり。


「た、たす・け・・て、だ・・れ・か」


まりんは、今にも事切れそうな状態だった。

次第に痛みも薄れるほど。


「う~ん、何か物足りないなぁ」


男は、やや不満げな顔をしていた。

まりんの体全体を見回しながら、考える。


「そうだ。他の場所も裸にしてみるか」


すると、男はふとももからつま先にかけて、ゆっくりと足を切り始めた。


「あ・・・が・・・が・・」


まりんの意識はほとんど無くなりかけていた。

しかし、男は気にせず続ける。


「おお、素晴らしい!」


足を縦に切り開き、まりんの足の骨が見える状態になった。

そして、切った個所を手でゆっくりと広げ、眺める。


「美しい、実に美しい!」


そして、男は反対の足も同じように切り開いた。


「これぞ美、これぞ芸術!」


まりんは、微動だに動かなくなった。

男は、まりんの死体をずっと眺めている。


そして、まりんの死体を見て絵を描こうとした時だった。


「う~ん、何か違うな。何か・・・」


男は、何かに納得していない。

何度も何度もまりんの死体を眺めたり、

内臓をぐちゃぐちゃといじってみるものの、何か満足が出来ない。


「違う、私が真に求めているものとは、違う・・・」


男は、自分が求めていたものと違っていた絶望感と怒りがこみ上げ、頭を壁に打ち付けた。

男の頭から、血が少し流れる。


「・・・そうか、そういう事だったのか!」


男は、何かに気づいたようだ。





---------数日後---------



複数人の警察官が、男のいた部屋へ入ってくる。

腐敗し始めたまりんの死体と、

胸から下腹部に向けて切り裂かれ、内臓がむき出しの状態になった男の死体があった。


「な、なんだこれは!?」


部屋は、おぞましいほど悪臭が漂っている。

今にも、警察官達は吐きそうな状態になっている。


そして、1枚の絵を見つける。


「こ、これは!?」


そこには、引き裂かれた男の体を描いた絵があった。

そう、男は自分で自分の体を引き裂き、臓物を飛び出させ、その姿を絵にしていたのだ。


「こ、この状態になりながら、自分で描いたのか?」

「信じられん・・・」


そして、もう1枚の紙に血文字でこう書いてあった。


『これこそ、真に美しいヌードデッサン』


と。


死亡した男の表情は、喜びに満ち溢れていた。





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霧島式ショートストーリー 霧島 翔 @ykstation

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