【KAC20247】魔羊ネエネエの日々の4。

豆ははこ

秘密の色、色々。

かまどの精霊さん、お願いしますですねえ』

 今日のネエネエ、うきうきモフモフ。


 竃の精霊にお願いして作る、特別な焼き菓子を調理中。


『爪や手に優しい魔蜂蜜のオイル、魔花の香水……お友達の魔女様方へのお土産、たくさんですねえ』


 お仕えする森の魔女様が同等の魔女様と称される雪原の魔女様、山の魔女様達とのお茶会に向かわれるのだ。


 従魔のネエネエは、お留守番。

 仲良しの従魔達とのやり取りによると、皆も同様にお留守番だという。


『偉大なる魔女様方の深遠なるご歓談なのですねえ』

『なるほど』『確かに』


 先日は、従魔友達と水晶で会話をして、お仕えする魔女様方のために力を尽くそうと誓い合った。


 だから、るんるんモフモフ。

『あとは魔女様のお支度ですねえ』


「おはよう、ネエネエ。朝早くからありがとう」

『おはようございますですねえ。お茶をどうぞですねえ』

 今日のお茶は、赤い、薔薇のお茶。


「ありがとう、ネエネエ。昨日のおいしい茸のスープはまだあるかな」

『はい! あとはパンにチーズをのせて焼きますですねえ。召し上がられましたら、ごゆるりとお支度をなさって下さいませねえ』


「……支度? 手土産はネエネエがたくさん準備してくれたのだろう?」


『はいですねえ。竃の精霊さんに焼いて頂く特別なお菓子も準備中ですねえ』

「ならば、よかろう?」


『魔女様、御身のお支度は……』

「魔女の正装。黒の服と帽子だが。ああ、そして、もちろん」

『もちろん』


「ネエネエの色」


『魔女様! すぐにご朝食をですねえ!』


 モフモフ感激。

 ネエネエは、魔女様の朝食を作り始める。


「支度は、十分」

 魔女は、美しく微笑む。


 偉大なる魔女達の、特別なお茶会。

 それは、愛しい従魔のことを語り合う会なのだ。


 雪原の魔女は雪のように白い魔熊のこと、山の魔女は晴れた日の空のように青い魔鷲のこと。

 そして、森の魔女は黒い魔羊ネエネエのモフモフな大活躍を。


 そう、秘密のお茶会、話題は尽きない。


 従魔達には秘密の、色々。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【KAC20247】魔羊ネエネエの日々の4。 豆ははこ @mahako

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ