箱・おぼろの龍

京極 道真  

第1話 箱

3月X日。今日で高2の3学期が終わる。

終業式を終えて教室へ戻る。机の上の箱。

「先生、この箱何ですか?」

「学校創立80周年の記念です。校章の桜の餅が入っています。」

「なんだ、餅か。」「小学生みたいだな。」

先生が「祝いごとです。ちゃんと持って帰ってください。では皆さん良い春休みを過ごしてください。」

僕らは教室を出た。

「リク、駅前バーガーでも行く?」ハルキ達が誘う。

「このあと塾なんだ。」「そっか、じゃあな。」

僕は電車の乗った。昼の車内はガラガラ。僕は座り箱を開けた。

桜の焼き印の餅が2個入っていた。

1個口に入れ。もう1個は、箱の...カバンに入れた。そのまま僕は塾。帰宅。カバンは机の上に。餅の入った箱がカバンから転げ落ちた。そして夜。机に箱はおいたまま。僕はベットに。

「リク、おい、リク。」誰かが僕を呼ぶ。意識はあるがこれは夢だ。僕は無理やり意識を閉じる。「おい、リク起きろ。」今度は肩を揺する。くそー寝れない。

「誰だ。なんだよ。」

えっ!目の前におぼろげな影だが確かに龍がいた。さすがの僕でも引いた。「なんで龍?」でも少しおかしい影が薄い。実態があるようでない。

「お前は誰だ。龍っぽいが。」

「そうだ。俺様は龍だ。高貴な龍だ。」

「高貴な龍にしては影が薄いぞ。」「仕方ない。この春のおぼろの風に誘われ人間界に迷いこんでしまった。そしてこの餅の匂いに惹かれて店の中に。気づくとこの餅の箱の中に閉じ込められていた。」

「えっ?餅に惹かれて、いやしい龍だな。」

「何を言うか少年。俺様は高貴な龍だぞ。」「はい。はい。高貴な龍殿。」

「助けてくれ。あの箱の餅の半分に俺様のカラダがまだ、入っている。食べてくれ。餅に封印されているままでは、身動きできない。」

僕はもう1個の餅を食べた。瞬間、龍は金色の光とともに消えた。「ありがとう少年。」箱の中に龍。おかしな夢を見たようだ。翌朝、机の上に桜の花びらがあった。龍のお礼か。

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