#2 ピンクの棺
「だから刑事さん 俺は殺してなんかいませんよ
ちょっとあいつとケンカになって 部屋を出て
仲間の道夫んとこで酒飲んで徹夜でゲームして
そのままパチンコ屋に行ったらこれが大当たりしてさ
やめ時なくって夕方までいてさ
そろそろあいつは店に行ってる頃だと思って戻ったら」
「戻ったら どうしたんだ」
「倒れてた てか 死んでた 俺が預かってたヤクを飲んだみたいだ」
「お前が部屋を出た時には死んでたんじゃないのか?」
〝違うって 健ちゃんひどい人だけど嘘は言ってないよ
私が 覚醒するおくすり 飲みすぎちゃったのよ
健ちゃん すぐ帰って来ると思ってたから 驚かそうとして〟
「だから違うって! 信じてくれよ 調べれば分かるんだろ調べてよ」
「あんなひどい事して 調べようがないだろが! まあその件は裁判員に
聞いてもらうとしてだな その後どうしたんだ」
「頭 パニックになったけど そうだ死んだ人は燃やさなきゃいけない
と思ってよ 夜になってから親父の店の車を持ち出した」
「親父の店は工務店だったな むごい事考えやがって」
〝違うよ 健ちゃんはじいちゃんの死んだ時と同じように
私を燃やそうと思ったんだよ 燃えてる間ずっと拝んでたんだよ〟
「車で山に入って河原で…… 」
「塗装用の油をかけて燃やしたんだな そんで 車にあったペンキ缶に
骨を入れた」
「じいちゃんの時に骨を入れたような壺がなかったもんで」
「ふざけんな! ペンキ缶を骨壺にしたって言うのか?」
〝ホントだよ 健ちゃん あたしが好きな色だったからって
わざわざピンクのペンキこさえてくれたんだよ〟
「それで? 骨を入れた缶持って部屋に戻ったのか」
「あいつがいなくなったら ここの家賃も払えないし出てくしかねえなあ
と思って」
「道夫にトラック借りさせて 家財道具持ち出したんだな
お前に巻き上げられて とっくに家賃は滞納してたみたいだぞ」
「そんなん知らなかったっすよ 大丈夫って言ってたし」
「馬鹿野郎! そんでその荷物を売り払った ちゃんと調べはついてる
そこで引き取ってもらえなかった物を 山ン中に不法投棄した事もな」
「だって どうしようもなかったから」
「泣くなっ! 泣いてごまかせる罪じゃねえぞ これからゆっくり全部
お前の嘘を暴いてやるからな」
〝健ちゃんは嘘ついてないよ 全部ホントだよ 私を押入れの
天井裏に隠した時も すぐ戻るからな って言ったんだよ
だから 誰が内見にきても私 邪魔してやったんだ
だって健ちゃんが戻った時 誰かが住んでたら困るじゃん〟
#KAC20242 ピンクのかん 真留女 @matome_05
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