内見、しよう!

彼女が内見ナシ引っ越しガチャリセマラ勢になってた件

暫く会っていなかった彼女が突然やってきてこう言った。

「内見なんてしないタチなんだよアタシ、

立地だけ見てズドン!ぶっちゃけ間取りもテキトー!

そしたらまさかの大外れ! てことでタイムリープしてくるわ!」

「いや内見しろよ。

あとそのタイムリープ装置昨日テレビでやってたぞ、タイムリープを謳ったパラレルワールド移動するだけの欠陥品だとかなんとか」

「まじか」

「まじだ」

「じゃ今話してる彼ピってもしかして平行世界の彼ピ？」

「まさかのパラレルワールド彼女だった件」

「ドッペルゲンガー現象発生しなくて良かった~!

ついでに言うとパラレルワールドはパラレルワールドでも斜め後ろに平行移動するタイプみたい。 この世界のアタシは今日ワゴンセールで投げ売り中のタイムリープ機を買うハズ。」

「不良品投げ売りする店も店だしそんな胡散臭いものを買う奴も買う奴では...」

「いぇーい」

「いぇーいじゃなくてだな...」

「このピースサインは2回目の内見ナシ引っ越しガチャ失敗を意味しています」

「急に正気になられても困る」

「元の世界に戻る機能とか無いし...家無いし...」

「引っ越しガチャはどうしたんだ」

「入居した次の日に爆発しました...」

「どうして」

「お隣さんが爆弾魔だったっぽくて...入居したとたんドカンと」

「ドカンかー」

「ちなみにその前は放火魔!

そしてこの世界線のアタシが住もうとしている家もおそらく激ヤバマッドサイエンティストとかなんかいると思われますね。

世界は輻輳する。内見ナシ引っ越しガチャをすれば何かしらの隣人トラブルで入居即退去の羽目になる。そのような理のなかにアタシはいるのです...

この世界線のアタシに一言。」

「内見、しよう!」

そういって平行世界の彼女は消えていった。

きっと次の世界線でも彼女は内見ナシ引っ越しガチャをするのだろう。安住の地が得られるその日まで、平行世界のすべての彼女に「内見、しよう!」と告げるまで...。