金継ぎの恋

　十三歳になったばかりの女学生、由希子は大人になった証として赤い靴を履き、緊張した面持ちで一人喫茶店へ入る。
注文したのは同級生たちの中で流行っているレモネード。それは恋をした時に飲む、大人の飲み物として彼女らの中で愛されていた。
　由希子は背伸びをしてレモネードを飲んでは自分の履いてきた赤い靴を周りへアピールし、とある上級生を想い、そしてその上級生が店へ入ってくる事を願う。
自分の容姿を整え大人の表情を作っていると、そこへ待ち人の上級生、水江が店内へやって来る。
会話した事も、目も合った事のない水江に由希子は淡い恋心を寄せていた。
そんな憧れの水江の登場に嬉しさに打ち震えるが、水江の隣には別の黒髪の上級生がおり、すぐにその嬉しさは沈んでしまう。
　二人の談笑する美しい姿に光を見てしまい、由…続きを読む