【エッセイ】ポンタの旅立ち

maris

🐈️

ポンタが我が家にやってきたのは

五月のことでした。


愛猫のミイが亡くなって一年後

深大寺にある動物墓苑にお墓参りに行った両親が、たまたま其処でやっていた

保護猫団体の里親探しのイベントで譲り受け、飼う事になったのです。

お誕生は不明、生後3ヶ月位ということなので、猫の日(2月22日)をお誕生日に決めました。


名前のポンタは

保護団体の人が付けたものなのですが、

ポンタって、なんかピンとこないよね、

他の名前を考えようということになったのですが、何故かその猫に合う名前が思い付かず

ポンタと呼んでるうちに

そのままポンタとなってしまいました(;´д`)



とくに病気もせず元気なポンタでしたが、

ある日突然いなくなってしまいました。

うちでは、猫は家の中だけで飼うのではなく

外に出たがる時には、外へ出してあげました。猫用のドアはなく玄関の扉の前に座ったら出してあげ、帰ってくるまでドアストッパーで隙間を開けていました(防犯上危険です!!)

だいたい30分くらいで戻ってきますし、ほぼ家の周辺か家の庭(庭木の上とか)にいることが多いです。





けれど、その日はとうとう帰って来ませんでした。

一生懸命探しましたが、一週間たっても戻って来なかったので、もう死んでしまったのかもしれないと思うようになったのは、家の近くには踏切があり時々野良猫が轢かれてしまうことがよくあったからです。

でも、亡骸を見たわけでもなく、気持ちの整理もつかない状態でいたのですが、

いなくなってから、1ヶ月半後、突然帰って来たのです。

それでもすぐに家に入ってきたわけではなくて


「最近猫の声が聞こえるんだけど、ポンタかなぁ」と母が言うので


「ポンタなら、入ってくるはずだから違うと思うよ」




「なんか、ポンタと同じような猫が庭にいたんだけど」


「まぁ、何処にでもいる猫だから、猫違いだと思うよ」





そんなことが数日続いていたのですが、

母が庭でばったりその猫と鉢合わせして、


「ポンタなんでしょ?

今まで何してたの!!

早く家に入りなさい!」と

(子供をしかりつける母親のように)声を掛けたら

(叱られた子供のように)しょぼしょぼと家に入ってきたんです(笑)


猫の気持ちは分かりませんが

猫でも、敷居が高いと思ったのでしょうか?

もしかしたら、そんな感情があるのかもしれません。



ポンタは、

何故突然家を出て行ったのか謎です。

反抗期の家出だったのかもしれません。



まるで人間の子供のような

ポンタ、可愛いいです。




でも、わたしはこう思うんです。

冒険旅行に行ってたんじゃないのかなって。


猫だけど、

一生に一度、知らない世界へ行ってスリル満点な旅をしてみたくなったとか。



ガリガリに痩せ細り、ボロボロになり帰ってきた姿は、魔物と戦った証なんじゃないのかなってね(笑)



話は、少し戻りますけど、

ポンタを飼う事になったのには、

ちょっとした理由がありました。


家族はペットロス状態であるものの

次の猫を飼おうとは、思っていませんでしたが、


「猫を飼ってもらえませんか?」


と最初に差し出された猫を見て、母はとてもびっくりしたそうです。

何故なら、数日前に見た夢に出てきた猫と瓜二つだったからです。

これは何かのお告げだろうか?

飼いなさいということかもしれないと思った

母は、いすることに決めたのです。

そんな事ってあるのかな?と思いながらも

家族は皆、母の話を信じ不思議な縁を歓迎したのです。




そのポンちゃん(呼び名)も

生まれてから、18年が経ち

ご飯も食べなくなってきて様子がおかしいので病院へ連れていったら

脳に腫瘍があり、手術も不可能だと告げられました。

何の治療も出来ないまま、家で過ごすことになりましたが、

かなりの高齢なので仕方ないでしょう。


その後、脳腫瘍のせいなのか、

右目の眼球が少しずつ飛び出してきて

化け猫のような恐ろしい顔になってしまいました。

これにはもう、痛々しくて涙が出ました。



ほとんど動かず1日中横になっていたポンちゃんでしたが、

お腹がすくのか、ヨタヨタしながら

餌と水を置いてある場所に行き、(食べられないのに)臭いを嗅ぐのです。

食べたいという思いは、ずっとあるのかな?


そして、ヨタヨタしながら(もう出るものもないのに)トイレにも行きました。

トイレには自分で行きたいと思いがあるのかな?


ヨタヨタしながら……、最期の最期まで

続けられた動作を見ていたら



それはなんだか

生ある限り、最期の瞬間まで頑張って生きるんだよ!という

ポンちゃんからのメッセージのような気がしたのです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

【エッセイ】ポンタの旅立ち maris @marimeron

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ