花子さんの内見
烏何故なくの
第1話
「こちら築一年の、真新しいトイレになります」
デス不動産屋さんに連れられて、花子さん10223号は真新しいトイレに足を踏み入れた。
花子さん10223号は花子さん道40年のベテランの花子さんである。
全国に花子さんの逸話が広がっていく初期の段階で生まれ、花子さんとして活動を始めた。祟った子供の数は百を越える、花子さん中の花子さんである。
花子さん10223号は最近インターネット用呪詛の資格も取り、まだまだ精神的にも呪力的にも現役で活動できる花子さんではあったが、花子さんが活動していた学校の方はそうもいかなかった。
古い学校は取り壊され、花子さんは居場所を無くしてしまった。
だから花子さんは心機一転、怪異用の賃貸を扱うデス不動産屋を頼り新しいトイレを探すことにしたのだ。
「す、すごい! 便座が暖かいわ!」
デス不動産の男が紹介してきたトイレは、青葉第一高校の理科室横のトイレだった。
明るく清潔感があり、トイレも暖かい。
日常生活の大部分をトイレで過ごす花子さん10223号にとっては、便座の座り心地は何よりも優先したい項目だ。
トイレの立地も良かった。日当たりが悪く怪談も産まれそうだ。
「ここ、ここにするわ! いくらなの?」
「ざっとこれくらいで」
「え!? こんなに安くていいの?」
花子さん10223号は即決でこの賃貸を借りることにした。
花子さん10223号が物件に入居してから次の日の夜の夜である。
花子さん10223号は便座に座ってうつらうつらとしていた。学生をメインターゲットにしているため、夜は暇なのである。
花子さん10223号のいる個室が、何者かにノックされた。
花子さん10223号が怪訝に思いドアを開ける。
血まみれの女学生が、そこにはいた。
「あの………これ…………」
血まみれの女学生が何かを差し出してくる。
日持ちする焼き菓子だった。
それを見て花子さん10223号は全てを察した。
(ここ、
花子さんの内見 烏何故なくの @karasunazenakuno
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