私の引っ越し遍歴

大田康湖

私の引っ越し遍歴

 私は現在一人暮らしだ。今住んでいる中古マンションも内見してから決めたものである。今回は当時の思い出を語りたい。


 私は1991年に上京してから会社の寮に住んでいたが、22時が門限だった。東京で開かれるイベントや、友人との飲み会にも時間を気にしながら参加しなくてはいけないのは苦痛だった。

 数年後寮を出た私は、会社の斡旋するアパートに引っ越した。6畳ほどのワンルームだったが、自分の城を持てた喜びは格別だった。しかし、増えていく本やグッズの収納場所に困り、2LDKのアパートに引っ越した。引っ越しの決め手は南西が道路に面していたことだった。当時BSやCSに入っていたので、パラボラアンテナを設置する場所が必要だったのだ。

 数年このアパートで暮らしていたが、ラジオの受信環境が非常に悪いという欠点があった。私はラジオ関西の『青春ラジメニア』を遠距離で聞いていたが、家のどこにラジカセを置いても雑音がひどく、ほとんど聞けなかった。安全面の不安や物も増えてきたこともあり、私は再度引っ越しを決意する。

 年齢のこともあり、次を終の棲家にする決意で私は不動産屋を訪れた。ネットで気軽に物件を見られる時代ではなく、不動産屋の紹介する物件を週末に何件も回り、最終的に二軒に絞った。どちらもオートロックのある中古マンションだ。父親にも立ち会ってもらい、最終決定に踏み切った。

 一件目は部屋のリフォームもしてあり、広い納戸が気に入ったが、階段のみの物件だった。荷物の持ち運びのことを考えると難しい問題だ。

 二件目は閑静な住宅街にあり駅から距離があったが、エレベーターがあった。内見時には引っ越し予定の現居住者が立ち会った。結局私は二件目を選んだ。

 最大の決め手は南西側に墓地があり、将来高い建物が建つリスクが少ないことだった。幸い私は霊感がないので、墓地のリスクもなかった。今のところ満足しているが、物がまたあふれてきたのが悩みである。

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