ホルスタイン女子高生たちのインターン
愛田 猛
ホルスタイン女子高生たちのインターン KAC20242「住宅の内見」
ホルスタイン女子高生たちのインターン
魔法学園では、冬休みに学生インターン制度を導入することになった。
社会に出る前に、世の中にいろいろな職業があることを知り、体験した上で進路を決めさせるという学校側の方針である。
インターン受け入れを快諾してくれた「ユニーク不動産」にインターンに来ることになったのは、ホルスタイン柄のセーラー服と巨乳がトレードマークのホルスタイン女子高生のホル美、筋肉マッチョだけど知性派で友達思いのミノタウロス女子、ミノ子、それからキラービーのキラの三人だった。
三人を迎えてくれたのは、意外にも人族の小柄な男だった。
「いらっしゃい。これからよろしくお願いします。私はウーです。」男はそう言って、ぺこりと頭を下げた。
「「「こちらこそよろしくお願いします。」」」三人も答える。
「皆さん、不動産会社については詳しいですか?」
三人は首を横に振った。
生まれてこのかた、不動産屋に入ったことなどないのだ。まあ、これはたいていの高校生について当てはまるだろう。
「じゃあ、今日は、当社で扱っている住宅について、説明と内見をしましょう。そうしたら、不動産屋の仕事も、少しは理解できるかもしれません。」
ウーは言い、皆に質問する。
「不動産会社は、何をすると思いますか?」
「おうちを作る」「家を売る」「家を貸す」三人が答える。
「はい、みなさん、すべて正解です。細かく言うと、家を作るのはデベロッパー業務で、家を売るとか貸すのは仲介業務といいます。」
「どう違うんですか?」ミノ子が尋ねる。
「デベロッパー業務は、場所を決めて、建てるものをデザイン、設計して実際に建てて、出来上がったものを売ります。だから、基本的には、土地を仕入れたり建物を作る原価と家を売った金額の差額が利益になります。 一方、売ったり貸したりの仲介では、基本的に自分が持っていないものをあっせんして、手数料をいただくものですよ。」
なるほど。3人は納得する。
「このユニーク不動産では、ユニークな不動産を開発しているんですが、作ったものを賃貸しているケースも多いですね。」
ウーが付け加える。
「なぜですか?」キラが尋ねる。
「まあ、それは物件を内見しながら説明しましょう、。」
そう言って、ウーは皆にいろいろな物件を内見させることにした。
「ホル美さんは、どんな家に住みたいですか?」ウーが聞く。
「あ~あたし~、庭に草が生えていて、それから冬でも日向ぼっこできるような家がいいな~」
ミノ子が突っ込む。「あんた、冬に日向ぼっこしたら寒いでしょ!年中昼寝ばっかりじゃダメよ!」
本来は、「牛になるよ!」と言いたかったが止めた。もう牛だから。
ウーが笑みをうかべる。
「そんなあなたにぴったりなのが、この物件です。ガラス張りのサンテラス付きで、冬でもぽかぽかです!」
ホル美はその家に入り、実際にサンテラスで寝転がってみた。
「あ~気持ちいい~しあわせ~」
ホル美が寝そうになったので、ミノ子があわてて起こす。
「ミノ子さんはどんなおうちがいいですか?ただの希望ですから、実現できなそうなものでもいいですよ。」ウーが尋ねる。
「それじゃあ私は、あちこち曲がって楽しめる、迷路みたいな家がいいかな。」
ミノ子が考えながら答える。
「そんなの無理だろ。」キラが突っ込む。
だがウーは笑顔で、次の家を見せた。
「そんなあなたに捧げるユニーク住宅、『リアル脱出住宅』です。中が迷路のようになっていて、クイズに答えないと先に進めません。 もちろん、緊急脱出も可能です。」
中に入ったミノ子が、しばらくしてから満足した表情で出てきた。
「これこそ理想の家ね!」
「僕は、狭くてもいい。というか、狭いほうが落ち着く。それで、プライバシーも守りつつみんなで一緒にいられるほうがいいな。」
「さすがにそんなのは無理でしょ~。」ホル美が言う。
さすがにこれは難しいだろう。
ところがウーは笑う。
「これはどうでしょう?ハニカム式、カプセルホテル型集合住宅です。」
見ると、六角形の細長い部屋が上下左右うにたくさん並んでいる。
これならキラのニーズも満たせる。
「すごいです。素晴らしい!」キラも満足だ。
「こういうのは、だいたい賃貸ですね。だから、賃貸も多いんです。」
ウーが説明した。
その後も、四角くて高層になっている「マンション型住宅」や、完全防音住宅、超狭小地の三階建て住宅、崖の斜面に軽業のように建つ住宅、魔道具ですべてをまかなう「オール魔法化住宅」すぐに作って壊せる「仮設住宅」家族が居ても家で仕事ができる「在宅勤務用個室付き住宅」などいろいろなものを、見せてもらった。
三人はすっかり感動した。何と、これらはすべて、住宅デザイナーのウーが設計したのだという。
「ウーさん、すごいです。どうしてこんな発想ができるんですか?」
ミノ子が感心して尋ねる。
「実はね。私は異世界の人間なんですよ。」ウーが説明する。
「え_異世界ですか?」三人が驚く。」
「ええ。チキュウという星の、日本という国で住宅の設計をしていたんですが、 この世界に『巻きこまれ召喚』されたんです。 経緯は省きますが、ここで住宅のデザインをすることで、暮らしています。実は、このデザインの大部分は、日本にあるものを流用しているんですよ。」
ウーは説明するする。
ホル美が尋ねた。
「ウーさんは、その日本でも有名な住宅デザイナーだったんですか?」
ウーはちょっとはにかみながら答えた。
「ええ、まあ。住宅の設計ばかりやっていて、少しは有名だったんですよ。」
「すごおい。もしかして、二つ名とかありました?」ホル美が尋ねる。
ウーはちょっと恥ずかしそうに答えた。
「ええ、本名がウツミというので、みんなは私を『住宅の内見(ウツミ)』と呼んでいました。」
=====
同種のオチが山のようにありそう。早いもん勝ちだ!
ホル美はシリーズものです・
狂気のデビュー作はこちら↓。
ホルスタアイン女子高生の特別な日
https://kakuyomu.jp/works/16818093072969728871
ホルスタイン女子高生たちのインターン 愛田 猛 @takaida1
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