おまけエピソード オバケとの生活

 オバケとの共同生活にも、だいぶ慣れてきた。

 家事を手伝ってくれるから、まるでお手伝いさんがいるみたいで助かってるよ。


 けどそのかわり、食費が2倍かかるって?

 ところがどっこい。

 オバケのやつ、どこからかお金を持ってきて、食費を払ってくれるんだ。

 本当によくできたオバケだよ。


 そして住みはじめてからわかったけどこのオバケ、他のアパートの住民からも愛されているようだ。


 今日も朝からアパートの前を掃き掃除しているオバケ。そこに二つ隣の部屋にすむおばさんが通りかかる。


「あらオバケちゃんおはよう。今日もお掃除えらいわねー」


 おばさんに挨拶されて、オバケも手を振ってこたえている。

( ´∀`)ノ


 今更ながら、オバケの定義ってなんなんだろうな。

 ここまで認知されて怖くなくて、存在を認められてるアイツを、はたして世間一般のオバケと同じと考えていいのだろうか?


 しかしそんなアイツにも、ちょっとはオバケらしいところがあるんだよな。

 それは動物に近づくとやたら反応されるということ。

 ほら、動物って、幽霊が近くにいると騒ぐって言うじゃん。

 オバケが近づくと、たいていの動物は騒んだよなあ。


 って、言ってる側から、散歩中の犬が近づいてきた。

 そして案の定、オバケにむかってワンワン吠える。

 そしたらオバケのやつ、怖いのかブルブル震えだしたじゃないか。

 ;:(∩´﹏`∩):;


 アイツひょっとして、犬が苦手なのか?

 あ! 犬が飼い主の手を離れて、オバケに向かって走ってきた。

 あ! オバケが犬に背を向けて逃げ出す。


 そしてオバケは犬から逃れるため、電柱に登り出した。

 なんか昔の漫画みたいだなあ。


 だけどジャンプしてきた犬が、オバケの足をガブリ。

 ああーっ! 大丈夫かオバケー!

(৹˃ᗝ˂৹)


「こら犬! あっち行ってろ」


 俺は犬を追い払ってオバケを保護。

 そのままアパートの部屋まで連れて帰る。


「お前よく犬に吠えられるんだから、外出るときは気を付けなきゃダメだぞ」


 オバケに効くかどうかは分からないけど、噛まれた場所に絆創膏を貼る。


 あーあ。オバケのやつしょんぼりしてるよ。

( ω-、)


「まあそんなしょげるなって。散歩に行きたかったら、俺が一緒について行ってやるから。なんなら今度二人で、ハイキングに行ってもいいかもな」


 するとオバケは、ホント? と言わんばかりにこっちを見る。

(・・)


「ああ。お前オバケだけど、移動する分には問題なさそうだし、色々遊びに行こうぜ」

(*´▽`)


 オバケのやつ、楽しそうに笑ってる。

 なんかもう、なつかれちまったな。




 ……それから数年後、俺は就職を機にアパートを出て別の町で暮らすことになる。

 そしてオバケはすっかり俺に取り憑いたようで、新しい家までついてくることになるのだが、それはまた別のお話。

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わけ有り物件の同居人 無月弟(無月蒼) @mutukitukuyomi

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