<後編>
階段の内側にあった階段の先、扉があってそこをあけると宮内は口をパクパクとさせた。
「あれなに?」「筋トレルーム」
にしては、随分サイズが小さい。だから、宮内は再度尋ねる。
「にしては、随分器具が多くて小さめだな」「ハムスター用だからな」
「二十四畳くらいありそうな広さだぞこれ」「正確には二十畳だな」
肩をがっしりつかんで山田をがくがくとシェイクしながら言った。
「なんで、ハムスター用の運動施設が上の人間様が使う居間より広いんだよふざけんな!!」「あそこの滑車でハムスターが回した分が電力のサポートとして使えるぞ」
「ちげーよ、そこじゃねぇよ!」
「ずぼらな人間でも安心な、自動エサやり清掃等幅広く面倒みてくれるロボットもついてくるぞ。子供のハムスターが親に潰されたりする心配もなし、冷暖房も完備だ」
「ちげぇよ、そういう事じゃねぇよ」
「こうもっとワイナリーとかシアタールームとかだろ?普通」
「俺はここくるときに、普通じゃない装備が一杯って言った筈だが?」
そういえばそうだったと、宮内が思い出してシェイクをやめた。
「犬猫用に改造するオプションならあるぞ」「人用のはねーんかい!」
「ないなぁ…」
なんだこの家と思いながら、地下を後にした。
「そういや、二階はどうなってんの?」
「おお、そうだった」そういって、階段をのぼっていく二人。
「二階も随分広いな」「二十畳のベランダ付一つと、七畳の部屋が二つだからな」
「一応、二階にもトイレがある」「すげーな」
「うち、一つは書斎になってんだ。防音もちゃんとしてるし最初から直下型の震度七にも五分は耐えれる本棚が壁に備え付けになってる」
「すげーじゃん!」
「ちなみに、この書斎の本棚をこう手でスライドさせると」
「おぉ、後ろにも本棚が!!」「いや、エレベーターがあるんだ」
「ふっざけんな!」
「夜食を買って、階段すら昇りたくない時はこっから入れる」
「何のために、玄関あんなにガッチガチのセキュリティなんだよ。ガバガバじゃねぇか」
「ちなみに、このエレベーターは凄いぞ」「早いとか重量運べるとかか?」
「いや、中がプラネタリウムになってんだ」「書斎につけろよ」
「こう、生きてくのがいやになったら煙草ふかせてさ」「まぁ、悪くはねぇのか」
「換気が通常仕様だから、煙草の匂い充満してむせると思うけど」「バカなんですかねぇ、これ作ったやつ」
他にも、二階のデカい部屋のベランダには仕掛けがあってだな。
「もう、何があっても驚かねぇぞ」
「まぁ、みてなって」そういって、山田がベランダの引き戸をあけて外へ出た。
「へぇ、ベランダは普通だな」
「この横のボタンを押すと」するすると雨戸のシャッターが降りてきて宮内がオオという声を出して感動していた。
「やっとまともな装備が……」「この雨戸に、サブスクで色んな映画が映せるんだ♪」
「外で映してどうすんだよ、何か近所中に趣味でもアピールしろってか。内側に映せるならまだ判るけど、これ全く意味ねぇだろ」
「ちなみに、サブスク以外にもネットの動画とかにも対応してるし。そこの箱に入れればLDからブルーレイ位までは対応してるぜ」
「だーかーらー内側につけません?そういうの!!」
「しょうがねぇだろ、デフォルトは外なんだよこれ。外す事しかできない感じ。ちなみに、ゲームは映せるぞコンポジットからHDMIまでばっちりでオプションではフロッピーから二十四ピン等も対応してんな」
「無駄に昔の奴まで対応してんなら、なんでベランダの外の雨戸シャッターにつけたんだよ……」
「うん、俺が知りてえ」と苦笑しながら山田が言った。
(その後も色々な装備に驚かされ、住まいとは何か人が考える快適とは何かをぐるぐると考えさせられる宮内)
「なっ、ヤバい家だったろ」「こんな家が日本にあった事に驚きだわ」
二人は、一通りビー玉をおいて水平をチェックしたりセンサーで揮発する空気に科学成分がもれてないかの<ちゃんとした内見>もやりおえてファミレスで無駄に疲れた体に糖分を補給していた。
<おしまい>
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※皆様も、住まい選びにはくれぐれも夢や理想だけではなく現実と向き合って頂きたいと思います。特にローンを組む様な人は、ローンの組み方や災害にあって家が潰れてもローンだけは残ったりするので(特有の残念構造)平行や水回りや外壁のダメージや床下はチェックを欠かさない方が良いです。
[KAC20242]一風変わった装備のある家を内見するただそれだけの話 めいき~ @meikjy
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