[KAC20242]一風変わった装備のある家を内見するただそれだけの話
めいき~
<前編>
どうも、俺は宮内。友人からすげぇ物件があるから内見にこいと言われここにきた。
「おい、山田。これどう見ても普通の一軒家じゃねぇか」「外だけな(笑)」
こいつは、高校からの友人。
「まぁ、百聞はなんとやらだ」「つまんねぇ家だったら、怒るぞ」
なんて冗談を言いながら、玄関の扉の前についた。
「へぇ、指紋認証に網膜認証とはえらいハイテクだな」
「それだけじゃないぜ、この家は!」
玄関をあけた瞬間、床が開いた。
「あーーーー」「認証通して無い奴がくると床が抜ける様になってんだって遅かったか」
しばらくすると宮内が、ゆっくりと形相でやーまーだぁぁぁと怒りの形相でせり上がってくる。
「すまん、宮内言うのが遅かった」「まさかこれが驚きの装備ってんじゃないだろうな」
「まさか、これだけじゃないぜ」「ったくしっかりしてくれよ」
そういって、玄関の臨時の客の認証をすませる。
次に、リビングにつくとごく普通のソファーとモニターが置いてあった。
「ここは普通だな」「んなこたないぞ、ソファーの横にあるボタン押してみろ」
「あん?これか」リモコンの様に並んでいるボタンをぽちっと押すとモニターに怪しげな2Dの商人がキャラクターで表示された。
「まいど、三河屋だ」「おぃ!これサブちゃんか?」「へい!サブの後に欲しいモノを言ってみろ」
「ヘイ!サブ。二人分の烏龍茶とフライドポテトが欲しいんだが?」
「ヘイYOU、お支払いはどうすんだい。おっと、配達料金も込みで千円頂くぜ」
「すっと、山田がプリペイドの銀を削ったものを机に置く」
「おっ、〇〇のプリペイドだな。良いぜ!じゃニ十分くれや」
そういうと、モニターが消えた。
「すげぇだろ、これ声だけで割と何でも通販できるんだぜ」
「こいつはすげぇし、便利だな」「ただ欠点もある」「高いとか、遅いとか、安全じゃないとか?」「あのモニター、サブちゃん以外何にも映らねぇんだわ」
途端に、眼が点になる宮内。
「つまり、ゲームとかテレビとかチューナーとかつけても何にも映らないと」
「おう」
「結構でかいよなあれ」「64インチあるからな」
「音声だけでいいじゃねぇか!」「俺もそう思ったんだけどしょうがないだろ!!」
「つまり、あれとは別にモニターがいると……」「おう」
「邪魔すぎるだろ、何しにあんなデカいんだよ」
「オプションで、サブちゃん以外のキャラも出来るぞ」
「ちげぇよ!キャラじゃねぇだろよ」「ボンキュボンの黒いスケスケの妖艶なお姉さまとかハムスターとか犬とかもできるぞ」「そこじゃねぇよ!もっとモニター小さくしろって言ってんだよ。どうせキャラ変えても受け答えして注文して配達して終わりなんだろ?」
「その通りです」「それが、ダメだって言ってんのお分かり?」
急に遠い眼をしながら、そうだよなぁと溜息をつく山田。
「まぁ、それは後で俺の上司に言っとくよ」「そうしろそうしろっていうかさっきからきになってたんだけどよ。この家全部の部屋の壁に不自然な穴が空いてねぇか?」
宮内が壁を指さすと、確かにそこにはフタでしめられた穴が壁に開いているではないか。
「あぁ、あれか。説明する為には済まないが、靴下脱いでかしてくれ」
「あ?あぁ判った」そういって、すっと黒い靴下を今脱いで山田に渡す。
「これを、この蓋あけて近づけると……」すぽっと靴下が壁に吸い込まれて山田の手から消えたではないか。
「おい、山田。俺の靴下どこやったんだ?」「慌てんな、それを今から説明すんだからよ」そういって、今度は風呂場の横にある洗濯籠の真上に少し大きめの穴が空いておりそこからさっき吸い込まれた宮内の靴下が出てきて籠に落ちたではないか。
「さっきの壁にあった穴は全部ここに繋がってるんだ、衣服しか入らねぇ。中はセンサーが沢山ついてて止まるし、プロペラとかもねぇからペットとかが入ってもタダの通路にしかならないって寸法さ」
「こいつはすげぇな」「ただこれにも欠点はある」「どんなだ……」「万が一蓋を少しでも開けっ放しにすると匂いが全部屋に充満するとかだな」
「消臭効果フタについてんのかよ!」「しかも、トイレにもこの穴開いてるので当然半渇きとかトイレの匂いが混じってえらい事になる全部屋で」「欠陥だらけじゃねぇか!」
「蓋の消臭効果は半永久的だから、蓋を無くさなければ大丈夫だ」「不安しかねーぞ」
「人が暮らす分には便利な装備だが、動物を飼う場合うっかりいたずらされると家に帰って来たら匂いで倒れるみたいなコントができる」
溜息をつく宮内、開き直る山田。
「他にはどんなやべぇ装備があるんだ」「後は、そうだな階段あっただろ」
そういって、階段の横の廊下に……。よく見ると、うっすらと継ぎ目が見えるではないか。
「おいまさか、この家の階段の下の収納って……」「おっ勘が良くなって来たな」
「こいつは収納じゃねぇんだ」そういって、引き戸の様にやると階段の内側に下への階段が現れた。
「おぉ~、これは秘密基地か。いいねぇこういうの俺は好きだぜ」
「ちげぇよ、そんないいもんじゃねぇ」「はぁ?じゃなんだよこの下に続く階段は」
「下りれば判る」
少しうっすらとした灯りの先にあったのは……。
<後半へ続く>
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