マオの正体は
「も、もしかして、君は《《マオ》···?」
そう聞くと、その少女はピンと尻尾と猫耳をたてに伸ばした。
「そうですにゃ!私はマオですにゃ!」
にへへ〜とマオは笑った――――
「ちょっとマオ?腕を離してくれないかな?」
未だに状況を読み込めていなかったが、取り敢えず腕を離して貰おうと思った、のだが···
「なんでですかにゃ?」
マオの尻尾が左右に動く。
「なんでって···腕が痛いからかな···」
先程からずっと力を俺の腕に込められていて凄く痛い。
どうみたって普通の女の子が出せる力じゃない。
「寂しいですが、仕方ないですにゃ」
そっと力が弱まり腕を離してくれた。
ふぅ、と息を吐き、一旦状況整理をした。
確か昨日、マオはケースの中に居たはず···
俺は部屋の端にある以前高い値段で買った、大きめのケースを見ると、ケースの入口に大きな穴が出来ていた。
へ?大きな穴?
俺が戸惑っていると、
「あ、それはですにゃ····」
マオはもじもじしながら、
「ご主人様と一緒に寝たくて···壊しちゃったにゃ····」
「う、うそ···」
あのケース高かったんだけど····
というか、普通の猫は壊せないと思うのだけど···
いやまて···
「というかマオ···その姿は···」
そう一番聞きたかったのは何故マオが人の姿なのか。
「ご主人様にこの姿を見せるのは初めてですにゃね。」
私は――――と一拍置いて、
「化け猫ですにゃ」
ば、化け猫?
化け猫ってたしか、人間に化けるっていう妖怪の一種だったっけ。
そんな都市伝説みたいな存在が実在するのか?
いや、実在している。
だって俺の前にいるのは、猫から人間の姿になったマオが居るのだから。
「あまり驚かないですにゃ?」
「いや…めっちゃびっくりしているよ」
嘘だ。
あまり驚いていない。
何故だろうか。
本来、化け猫と聞いたら驚くだろうに…
「そういえばご主人様?」
「うん?」
マオは俺ではなく違う所を見ながら…
「いつも外に出る時間を過ぎてますにゃ」
「え…」
俺はマオが向いている所に視線をとばした。
そこには先程アラームが鳴っていたスマホがあった。
そのスマホに表示されている時刻を見ると、
学校の登校時間を過ぎていた。
「ってやばぁぁ!!」
俺は急いで支度をした。
「マオ、まだ聞きたいこと沢山あるけど俺は学校だからちゃんと留守していてね」
「はいにゃ!出来る限り早く帰ってきてくださいにゃ」
靴を履き玄関から出て中学校に走って向かった。
それから数十分後中学校に着いた。
ギリギリ門入れて遅刻することは無かった。
言い忘れていたが、小学校と同じく中学校も家から近かった。
そして校舎の中に入り、廊下を速歩きをして教室へと入った。
そのまま自分の席、窓側の一番後ろに座った。
そうすると、隣の席から透き通るような声が聞こえた。
「優斗がギリギリに来るなんて珍しいね」
俺は隣に視線を向ける。
そこには、ふんわりとした雰囲気に栗色の髪のポニーテール、黒色の瞳を宿した幼馴染、
小学校の頃は違うクラスになる事が多くあまり話せていなかったが中学になって同じクラスになり、よく喋り合うようになった。
「今日はちょっと寝坊しちゃってね」
穂波はジッと俺の顔を見ていた。
「ふーん…寝坊、ね」
「な、何か俺の顔に付いてる?」
「ううん、何も付いていないよ」
「そ、そう」
今日の美穂がいつもと違うように感じたのは気のせいか…
チャイムが鳴った――――
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ある日俺は、猫を拾った。しかし、その猫は化け猫だったようで、大事に育てたら、ある事に嫉妬するようになりました。 灰瀬 @Haise0125
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