シェアして食べるプチシューを一人で食べる。

20240309土 ご近所さんと一緒

　娘が遊びに来るというのでお昼ご飯は久しぶりにケンタッキーにすることにした。

　ウーバーで頼んでも良かったのだけど、ぽかぽか陽気だったので散歩がてら自転車で行くことにした。

　それなのに。

　家を出てすぐ、「こんにちは」と声をかけられた。

　振り向くとそこには3軒先のご近所の奥さんが、同じように自転車に乗っているではないか。

「どこ行くの？　買い物？」と聞かれ、嫌な予感がした。

「駅前に行こうと思って」

「そうなの？　私も駅前のヨガに行くんだ」

「うわぁ、すごいヨガやってるの？」

「もうさ、ストレス溜まりまくってるから、運動でもしないとやってられなくて」

　普通に、いや極めて明るく会話を始めたが、内心「げー、ここから駅まで一緒かよ」である。

　のんびりゆっくり春を楽しみながら自転車を漕ごうと思ってたのに、申し訳ないが話しかけないでほしかった。

　別にそのご近所さんが好きとか嫌いとかではなく、2台つるんで走る自転車って迷惑でしかないし、「おばさんって世間話しながらやりがちだよね」って思われるのを知ってるから尚更だ。

　案の定、喋り通しました。

　そのご近所さん家がローン地獄だと教えてくれました。

　そんなの知らんと思いながらも「えっ！」と驚いてあげたら、詳細を教えてくれました。

　旦那さんがとても可愛がっているお気に入りの車を、大学生の一人息子さんが運転中に単独事故を起こし廃車になった。

　旦那さんがまた別のお気に入りの車を買った。

　廃車した車のローンはそのまま残っていて、そこに新しい車のローンが追加され、2台分払っている。

　昨年、オール電化及び太陽光パネルを設置した工事費のローンがあり、今年に入って外壁塗装のローンも加わった。

　しかも、新築で住宅購入した際『ゆとりローン』を組んだので、今めっちゃ高い金利を払っていて、あと15年残っているそう。

　旦那さんは会社員で役職は付いているが不景気になってコロナになって収入が減っているから大変のなのだとか。

　そんなこんなで家計が火の車なので、「大学の奨学金はお前が自分で働いて返せよって息子に言ったやったよ」と。

　乱暴すぎる。

　自転車に乗りながら声を張り上げて話す内容じゃないし、何もかもうちと考え方が違って、ある意味衝撃だった。

　そして、好きでも嫌いでもなかったご近所さんが、一気に嫌いになった。

　ケンタッキーを食べながら、娘とご近所さんの話題で盛り上がる。

「でもさ、それが普通なんじゃない？」と冷静に娘が言う。

　続けて「うちみたいに車も外壁塗装も全部現金で、ローンっていえば住宅ローンだけでさ、しかも借り換えとかまでしててさ。あと何年で完済なの？」

「あと5年くらい」

「でしょ、ホントにそういうとこ父さんも偉いよね」

「確かに、奨学金も借りてないしね」

「それ、マジ、助かってる」

「だよね」

　ローンも大変だけど、現金主義もそれなりにキツイものがある。

　どちらにしても生きていくのは一筋縄ではいかないと、改めて身につまされた、そんな春の日だった。