十数年後、都内で超人マンシリーズ最新作の制作発表会見が行われた。主演を務めるのは今作でデビューを果たす若手の新人俳優。熾烈なオーディションを勝ち残り主役の座を掴んだシンデレラボーイだ。

「初めまして、この度超人マンを演じさせていただくことになりました。ヒーローになることは子供の頃からの夢だったので、夢が叶って感無量です。精一杯演じるので、応援よろしくお願いします」

 あどけなさが残る顔を上気させ、ハキハキと意気込みを語る彼に、インタビュアーが質問を投げかけた。

「目指すヒーロー像、ですか。えっと、十年くらい前のヒーローショーに本物のヒーローが現れた、ってニュース覚えてます? はい、映像もよくテレビで流してましたよね。僕、そのショーを観に行ってたんですよ。当時は子供だったので事情なんて何もわからないで、言われるがまま超人マンを応援してました。けど、後でその時の話を聞いて、僕達子供の夢を壊さないようにしてくれてたって知って感激しました。あの時の超人マンこそ、僕の憧れのヒーローなんです」

 言葉を切った彼は、はにかみながら隣に立つ男性を見上げた。男性は変身後の超人マンを演じるスーツアクターだ。長い下積みを経て一人前のアクターとなった彼も、もう一人の主演である。

「あの時のヒーローと一緒に仕事ができるなんて、本当に夢みたいです。僕も超人マンとして子供達に夢を届けたいです」

 この日の会見は「神回」と呼ばれ、ファンの間で熱く語り継がれたという。

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インスタントヒーロー 佐倉みづき @skr_mzk

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