バッファローとカップ麺、あるいはわけのわからない英文について
板久咲絢芽
buffaloには水牛の呼称と地名と動詞の意味がある(ブドウの品種も)
バッファロー(地名)のバッファローには三分以内にやらなければならないことがあった。
どこのバッファロー(地名)かって?
アメリカのバッファロー(地名)には違いないのだけど……まあ、ニューヨークにも、ミネソタにも、ミズーリにも、オクラホマにも、サウスダコタにも、ウィスコンシンにも、ワイオミングにも、ネブラスカにも、バッファロー(地名)はあるからね。
このバッファロー(地名)のバッファローの、「バッファロー(地名)」は、そうだな、ミズーリだ。
では、何をやらなければならなかったのか。
答えは簡単、
なんで、
バッファロー(ミズーリ)のバッファローは昔ながらのカップ麺が食べたかったんだ。
最近だと五分や四分というのもあるけど、そうじゃない、お湯を入れてぴったり三分のやつをね。
だけれど、
ああ、もしかしたら、
アメリカのバッファロー(ミズーリ)のバッファローだからね。
まあ何はともあれ、そのバッファロー(ミズーリ)のバッファローはカップ麺が出来上がる三分の間に、カップ麺を食べるための食器を用意しなきゃいけなかったんだ。
ところが、ここで臨時ニュースだ。
勿論、いいニュースなんかじゃない。
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが、そのバッファロー(ミズーリ)のバッファローのいる場所に向かっているというのだから。
その全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れもまた、バッファロー(地名)のバッファローの群れだったんだけど……ああ、この全てを破壊しながら突き進むバッファロー(地名)のバッファローの群れの「バッファロー(地名)」は、今カップ麺が出来上がるまでの間に食器を用意しようとしてるバッファロー(ミズーリ)のバッファローとは違って、「バッファロー(ウィスコンシン)」だったみたいだね。
さすが、州のモットーが「
障害物も何のその。そりゃ、全てを破壊しながら突き進めば「
さて、これを受けたバッファロー(ミズーリ)のバッファローはどうしようか、勿論悩んだ。
と言っても、それはたったの十秒で済んだ。
問題はその後だ。
バッファロー(ミズーリ)のバッファローもその対応をとるのは気が進まなかったんだ。それで五十秒、もだもだと時間を無駄にした。
そうして時間を無駄にした後に、バッファロー(ミズーリ)のバッファローは、バッファロー(地名)のバッファローにスマホのメッセージアプリで連絡した。
このバッファロー(ミズーリ)のバッファローが連絡したバッファロー(地名)のバッファローの「バッファロー(地名)」はニューヨーク出身のバッファローだ。
全てを破壊しながら突き進むバッファロー(ウィスコンシン)のバッファローの群れを、バッファロー(ニューヨーク)のバッファローに止められないか、打診したんだよ。
バッファロー(ニューヨーク)のバッファローは、いわばガキ大将みたいなやつでね、バッファロー(ミズーリ)のバッファローはよくこいつに……まあ、なんだ、イジられてたんだ。
とはいえ、バッファロー(ニューヨーク)のバッファローは負けず嫌いで、偉ぶったやつだからね、全てを破壊しながら突き進むバッファロー(ウィスコンシン)のバッファローの群れを止めるのにあっさり挑戦したんだ。
まあ、ニューヨークのモットーは「
バッファロー(ニューヨーク)のバッファローは上昇志向ではあったのさ。
全てを破壊しながら突き進むバッファロー(ウィスコンシン)のバッファローの群れを止めたなんてあれば、バッファロー(地名)のバッファローだけじゃない、全世界のバッファローの
だから、バッファロー(ニューヨーク)のバッファローは、全てを破壊しながら突き進むバッファロー(ウィスコンシン)のバッファローの群れの前に立って、ものすごい威圧感を出したんだ。
威圧感は物体ではないからね。
全てを破壊しながら突き進むバッファロー(ウィスコンシン)のバッファローの群れであっても、空気までは簡単にぶち壊すことは出来なかったらしい。
場合によっては、空気の方が簡単に破壊できると思うんだけど、群れだからこそ、物理特化だったみたいだね。
そんなこんなで、全てを破壊しながら突き進むバッファロー(ウィスコンシン)のバッファローの群れは、バッファロー(ニューヨーク)のバッファローの前に散り散りになったそうだ。
うん? 最初のバッファロー(ミズーリ)のバッファローはどうしたのかって?
迷いはしたけど、メッセージを送るのは三十秒ばかりで終わったからね、残りの一分半で優雅にフォークを準備して、待ちに待ったカップ麺をすすったそうだよ。
ミズーリのモットーは「
――ところで、君は「Buffalo buffalo Buffalo buffalo buffalo buffalo Buffalo buffalo.」なる、英文法上正しいにもかかわらず、読解があまりに難解な英文を知っているかな。
その訳は――バッファロー(地名)のバッファロー(個体A)を
つまり、これはそういう話さ。
バッファローとカップ麺、あるいはわけのわからない英文について 板久咲絢芽 @itksk_ayame
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