初期不良タイムマシン

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因果律の初期不良

 荒野のド真ん中にいる未来から来た男は三分以内にやらなければならないことがあった。


 それは、彼の手元にある卵型のタイムマシンのボタンが陥没してしまい、昨晩綺麗に切ってしまった爪で元に戻さなければ未来へ戻れない。

 そして三分以内に戻さなければ、遠くから上がる土煙、そうこの世界に生息しているバッファローの群れが押し寄せて轢き殺されそうになるのだ。

 どれだけその場から逃げても、まるで男に狙いを定めているかのようにバッファローの群れが彼を追いかけてくる。

 何回タイムマシンを起動しても起こるこの現象は、きっと因果律によってこの時間軸にいると何か良くないという時間解析論によるものなのだろうとどっかの動画で見た浅い知識を思い出し、男は納得していた。


「ンモオオオオォォォ!!」


 そうこうしていると、バッファローの群れが押し寄せて来た。男は焦りつつ過去に戻るボタンを押した。





 荒野のド真ん中にいる未来から来た男は三分以内にやらなければならないことがあった。


 それは陥没したタイムマシンのボタンを治しつつ、過去に戻るボタンを押して時間稼ぎをしないといけない。

 何故だかわからないがこの大昔に来れたはずなのに、ここに来て3分前のこの荒野の地点にしか戻れない。

 男はこの家電量販店で一番安いタイムマシンを買ってこんな事になってしまった事に憤りを感じている。

 そう言えば、この商品のレビューに良く読んでいないがと記載されていた気がした。

 店員の話を聞いて、使い安くて高精度なちょっと高いタイムマシンにすれば良かったと……もっとあの店員が強く勧めてくれればこんな事にはと、若干逆恨みに近い感情まで沸き上がっていた。

 彼は思わず地団駄を踏む。


「……?」


 男は足元で何かを踏んだ事に気づく。

 見ると、それはこの荒野にはありそうもない綺麗な紙だった。

 拾い上げて見ると、それは購入した時についていたタイムマシンの説明書だった。

 男は気づく。


 


 彼は残り時間が少ない間にそれを読む。

 するとわかった事がある。

 この卵型のタイムマシンは2つに割れる仕様で、その中に飛びたい時代の設定が出来る事と、陥没していたと思っていた未来へ戻るボタンは別のボタンを押すと戻る仕様だった。

 設定しなければ3分だけ時間移動する設定だったり、初期設定が大昔の設定だったりと、今まで起きたことのほとんどがのである。

 自分の愚かさを悔いる事も忘れ男はタイムマシンを操作する。


「ンモオオオオォォォ!!」


 バッファローの群れが押し寄せる中、彼は設定を終えて元に戻った未来へ帰るボタンを押した。




 彼は未来の世界である自宅に戻って来た。

 男は無事帰還できた事に安堵しつつ、購入した家電量販店にクレームを入れようと電話をかけようとした。

 その時だった。


「ピピピガガガガァァァ!!」


 全てを破壊しながら突き進むバッファローロボットの群れが家の壁を破壊し男を襲った。

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