青い惑星

白兎

青い惑星

 ポッサムには三分以内にやらなければならないことがあった。


 やっと見つけた青い惑星。もう、ここしかなかった。


 ポッサムが乗っている母船には約一億もの命が乗っていた。しかし、その生命維持装置を維持するエネルギーが、残り三分しかないのだ。三分以内にエネルギーを補充しなければ、一億もの命が失われる。


 彼らを救うことが出来るのはポッサムしかいない。


 白い小型船に乗り、最高速で地上へと降り立つ。


「突然、びっくりさせてしまって、ごめんなさい」

 ポッサムが言うと、人々はポッサムから距離を取り平伏ひれふした。

「怖がらないで、お願いを聞いて欲しいのです」

 ポッサムが必死で訴えるも、彼らは平伏したまま顔を上げず、声も上げない。

「時間がないんです。僕の仲間が死んでしまうんです。だから、あなた達のエネルギーを分けて下さい」

 ポッサムは人々に深く頭を下げた。すると人々は恐れからなのか、ざわざわと声を上げた。しかし、ポッサムにはこの人たちの言葉は分からなかった。

「あの~、エネルギーを分けて欲しいんですけど? こうやって両手を上に向けて、あなた達のエネルギーを放出してください」

 ポッサムが両手を上にあげると、人々はそれを見て真似た。すると、彼らの手から光るオーラが出て、それは上へと昇っていった。

「みんな、ありがとう!」


 ポッサムは、人々にお礼を言った。ここに集まった人たちだけでなく、ポッサムを映像で見た者たちが、この青い惑星の至る所で、同じ様に両手を上に向けて、エネルギーを放出していた。それらが集まり膨大なものとなった。


 母船にいる仲間たちの生命維持装置が作動し、彼らの命は繋がれた。


「ああ、なんて、素晴らしい者たちなんだろう。僕たちのために、エネルギーを分けてくれるなんて」

 ポッサムは人々に感謝して、白い小型船に乗り、母船へと帰って行った。


 青い惑星では、白い雲に乗った美しい者が天へ昇って行く姿を見て、人々がこう言った。

「おお! 神よ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

青い惑星 白兎 @hakuto-i

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説

スマイルシティ

★214 SF 完結済 1話