第13話2024年10月
「自宅学習じゃダメなの?」
「せっかくなんだから行ってみればいいでしょ、学校」
レイラと明凛朱が話しているのを聞きながら、千弦は不思議な気持ちでいた。まさか、この三人で登校することがあるとは。レイラは初めての学校で、家からずっとこの調子らしい。今、彼女は明凛朱と陽乃姉妹と暮らしている。あの日、二人が乗ってきたボートのほうは自動で返ってしまい、一人待っていると、レイラ、颯真、明凛朱と陽乃が一斉に乗り込んで逃げ帰った日が昨日のようだ。反対されながらもどうにか立ち寄った倉庫で、千弦は事務机の中に口座番号と権利書を見つけた。京一が言っていたものだ。あれから父の行方は再び不明のままだ。パークは変わらず営業しているが、あの団体がどうなったのかもわからない。本当に実在したのかと、今では思う。夢だったのかもしれない、と。
「麻矢さんはどうしてるって?」
明凛朱がレイラに聞いた。
「颯真さんと取材だって。なんかあの二人、一緒に暮らしだしたみたい」
すっかり夢から覚めた二人が笑っている。
不思議の王国 昼星石夢 @novelist00
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