歴史と家族の想いが絡む良質ホラー

  • ★★★ Excellent!!!

非常に引き込まれる作品でした。


まず、農林水産省の職員である主人公・谷原は勿論、周りを固める登場人物たち全員が魅力的で必要不可欠な人物であったと感じました。

また、最初から最後まで飽きることのない展開に圧巻されました。
物語にかかる農作の歴史や舞台となる朝比町の歴史、ふたつの神社の背景、さらに日本神話までが不協和音になることなく上手く絡み合っており、非常に面白かったです。

各登場人物たちの家族のかたちがそれぞれ見える点も非常に良かったです。
守るべき子がいる父親たちの奮闘する姿、守られる子たちの思いや考えが垣間見える場面も多く、物語においてそれが重要なキーとなる点もこの作品の魅力かと思いました。
それらを凌駕し、最後に全てを持っていくのが雷神の母たる伊弉冉美命というのもかなり印象深かったです。


今回最終候補まで勝ち抜いた作品とのことで、是非とも良い結果となることを祈り、拙いながらもレビューを書かせていただきました。

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神鳴り