第2話まずは性能を確かめてみよう

「それで何から始めるのですか?」


事務室を出て歩き始めたミィシャの後ろを歩きならがキリサキは質問した。


「本当はすぐにでも飛び出したいのだが、実地訓練がまだ出来ていないので説明がてら〈ささやきの森〉に行くぞ!」

「ささやきの森というと、冒険者と呼ばれる職業についた人類が最初に訪れる場所ですよね?」

「そうだ!丁度、人形の試験運用時に買った装備もあるから、それも付けて行こうではないか!」


ミィシャは拳を上にあげて意気揚々と歩いて行く。

しばらくして試験運用部屋と書かれた部屋に着くとミィシャはパスワードを入力し、開いた部屋にキリサキと一緒に入っていく。


「コホン、では気を取り直して人形の使い方をレクチャーしながら向かおうでは無いか!」

「よろしくお願いします。」

「まずはさっき言った通りに人形に入ってみるのだ!」


そう言いながらミィシャは人形の中に入って消えた。

キリサキも自分の人形に意識を向けると一瞬の浮遊感を感じて目を開けると視点が変わってるのを感じた。

人形に入ったミィシャは続けて


「次に人形に変身したい種族を思い浮かべながら魔力を注ぐのだ。今回は冒険者に装うから人類の系譜で行こう。なりたい人類を思い浮かべながら人形に魔力を注ぐ感じだな。」

「こんな感じでしょうか?…あ、僅かに魔力が使われた感じがしましたね。」

「消費する魔力は変身する種族によって違うので注意が必要だぞ!また種族としての耐久性も魔力で賄われるので、自分の魔力以上の存在に変身する場合は耐久性が注いだ魔力分相当になるので、そこも注意が必要だな!」


ミィシャからの説明しながらも2人の人形は形を変えていき、人類の姿に変化した。


「これは中々凄いですね。本来の自分との差は少し違和感で感じますが許容できる範囲内ですね。」

「この違和感を少なくするのに結構時間かけたのだが、まだまだ改善が必要だな。まぁ、今は説明の続きをしよう。変身はどこまでするかも決めることが出来る。キリサキの様に人類が産まれたばかりの姿も出来るし、わたしの様に服を着た姿にもできる。ただし、服を着た状態だと当たり前だが脱ぐことが出来ないので怪しまれる。」

「では何故服を着た状態になったのですか?」

「説明する為に決まっているだろ!決して人類の裸を見た事がないからではないぞ!」


そう言いながらミィシャはキリサキの姿を確認して裸になり、2人は買った防具を装備した。


「しかしキリサキは人類の扱いが上手いな!わたしなど翼が無い違和感に慣れるのにかなり時間がかかったんだぞ!」

「私は普段から人類に近い生活をしているのでその影響かと思います。」

「ぐぬぬ、なぜか分からんが負けた気がしてきたのだ!」

「そんな事よりも今の姿を確認したいのですが」

「そんな事!?」


ミィシャはぶーぶーと抗議をしながらスイッチを押すと壁が回転し鏡が出現した。

鏡を見ると2人の姿が見える。

1人はサラッとした体型にキリッとした目でいかにも出来るお姉さんといった姿をしており、もう1人は少女みたいな体型にわんぱくそうな顔をしたお転婆な印象を受ける姿をしていた。


「何と言いますか、ミィシャ様は何とも可愛らしい姿になりましたね。」

「この姿だと買い物する時におまけしてくれたりして便利だからな!装備を買う時は止められたから違う姿で買ったけど、小回りもきくから便利だぞ!あとこの姿で様付けや敬語はおかしいから崩して構わんぞ」

「分かりましたミィシャちゃん。」

「ちゃん付けはおかしいだろ!?まぁいい、それでは早速森へ行こうではないか!」

「はい、ミィシャちゃん」

「ぐぅ、この違和感にも慣れねばならんのか〜」


2人は和気あいあいと話をしながら部屋の奥にある転送ゲートへと向かった。

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悪いぞ四天王のミィシャちゃん(仮) ポンコツ人形 @misyatarou

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