自分を好きでいるために

『間が悪い』というのは『タイミングが悪い』と『運が悪い』の二つの意味が混ざり合った言葉です。この物語の主人公が自分を間が悪い男だと言っているのは一見自虐に見えます。でも本当に彼は自虐しているのかな?
 自身の事を『俺って頭悪くてさあ』などと言う場合、大抵自虐に見せかけた自己防衛です。実際はそこそこ頭が良いと自信があって、そんな自分と同レベル以上の相手に侮られないよう予防線を張ってるんですね。
 ですがこの主人公は客観的に見て本当に『間が悪い』。だから彼の言葉は素直な自己肯定な訳で、きっとこの年齢に至るまで思春期の頃なんかはそんな自分の〈特性〉に相当反発してたんだと思いますけど、今はすっかり受け容れてる。諦めてるのかもしれないけど、少なくとも現実から目を背けてやさぐれてはいない。逆に言えば彼の間の悪さこそ、彼が計算高い歪んだ人間にならなかった長所なのかも。だから端から見てて情けない主人公なのに応援したくなるんでしょうね。

 けどホント、間が悪い🤣