33話 トラブルで深まる絆
「これがお城の中…?結構広いわね…」
私たちは最初のチェックポイントから、お城の中に入り、ぐるぐると色んなとこを歩いて回った。
「人がいる気配はないな。ところどころ窓も割れてるし、植物が生い茂っているところもある。もう結構前のところなんだろう。」
「ふーん…ってあれ見て!!」
ネグが指さすとこを見てみると
「あれは…ここの貴族と使用人の写真…?」
そこには大人数の人が映った写真がでかく一枚飾られてあった。でも荒廃していて写真がところどころ破れていたりしているため、顔がわからない人もチラホラいる。
(これだけ立派なら、有名な貴族では?誰か1人でも知ってる人はいないのかな?)
「こんなところで止まっててもダメね。気になるけど早く行きましょう。」
ネグの言うとおりにして、私たちはその場から去った。
(さっきの写真…なにか引っかかるな…)
と考えながら歩いていると、
カッ!!!
「キャッ!!」
「うお!!」
石に躓いて転びそうになってしまった。
「大丈夫か?というか、ボーッとしながら歩くな!!」
「ご、ごめんなさい!!」
「そうよミロワ!!気になるけど気を強く持ちなさい!!」
と、2人が言う。みんなしっかりしてるな…私は頑張っても置いていかれそうだ…
そうして、もう一歩踏み出そうとすると、
「いたっ!!」
さっき躓きかけたので足を捻挫してしまった。
「ミロワ、捻挫したの?」
そう言って駆け寄ってきてくれたのはミーシィ。
「ちょっと動かずに待ってて。」
「う、うん。」
ミディは倉庫から包帯とテープを取り出して、足を固定してくれた。
「あ、ありがとう」
「ミロワ、しっかりと気を持て。脱出したいと言い始めたのは君なんだから。」
「ごめんね…」
私はそう言ってガンダとネグのほうに目をやると、
(え、)
2人はなんとも言えない表情をしていた。
ガンダは呆れているのだろうか、こっちを見た後に別のほうを向いてため息をした。
ネグは…視線が冷たい。私の足をジッと見た後に私のほうに目を向けて数秒黙りこんだ。
(私、みんなの足を引っぱってる。だめだ。しっかりしなきゃ。みんなに失望されたら私は1人だ。こわい)
「ミロワ!!大丈夫!?顔色悪いわよ!!」
とネグの声でハッとした。
「ご、ごめん…考え事しちゃってて…」
「…そう、少し気が落ち着いてからいきましょうか。」
「あ、いや、大丈夫!!もういけるよ!!」
私はぐっと立ち上がった。少し痛むけど、固定されている分、全然マシだ。
「…ミロワも疲れてるのよ。みんな、ここで仲間割れはダメ!!広い心を持っていきましょう!!」
「…」
ガンダは一向に黙ったままだ。私はずっとガンダにお世話になっている。どんどん申し訳ない気持ちでいっぱいになって、不安になっていると、
「ネグ~それは君が今日ミロワに座らせて寝たからじゃな~い?未成年に寝る場所ぐらい譲りなよ~。ガンダもそう思うでしょ?」
「…んだな!!ネグ!!次からはちゃんとしろよ!!」
「それは本当にごめん!!私も疲れてて!!今日からはミロワが快眠できるためにみんなで心がけましょう!!」
ネグは本当に頼りがいがある。お姉ちゃんみたい。
ミディも私のためにフォローしてくれた。
ガンダは、今回のことは許してくれたかな…??
「そろそろ進もうか。ちょっとは休憩できとんじゃない?」
「…うん。」
「よし!!そうとなれば脱出、頑張るわよー!!!」
みんなのおかげで場の空気が和んだ。
私はみんなに迷惑かけてばっかりだな…。
脱出したら、まずみんなにはお礼しなくちゃ。
星の都 9霊視 @zin0512
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