32話 次の目標地点

「ミロワは将来なにになりたいの?」


「んーっとね、ケーキ屋さん!!」


「あら、なんで?」


「ケーキいっぱい、つくれるし、食べてるから!!」


「あらあら…!!ケーキつくったら、お母さんにもわけてね。」


「うん!!」

なにか懐かしい感じがする。

そっか、私ケーキ屋さんになりたかったんだっけ。昔から甘いものとか、お茶に合うもの大好きだったな…というか早く学校に行かなくちゃ。今日は友だちと…


「ぉぃ、おい。ミロワ起きろ!!」


「う、うーん…」

私はボーッとしながら目をしぶしぶ開ける。


「あ、あれ、私なにしてて…」

眠い目を擦る。

えぇと、確か、脱出をしてて…

それを思いだすとパッと目が覚めた。

なにかに寄りかかっている。隣を見てみるとそこには、


「おはよう。」

真顔のミディがいた。

まってそれじゃあ私、ミーシィに寄りかかってって寝てたってこと…!?

私はミディの肩からバッと体を移動させてミーシィにこう言った。


「ご、ごめんなさい…!!!よ、よだれとかついてたりしない…!?」


「大丈夫だよ。よだれも別についてない。

というか今から今後のこと話すから、ちょっと聞いてくれる?」


「わかった、!」

私がそう言ったあと、ミーシィは地図と本を広げた。

でもなにか様子がおかしい。ミディは地図と本を広げた後、なにも話さずただ頭を悩ませているだけだった。

(どうしたんだろう…)


「…単刀直入に言うね。今日はここまで行く!とかそういう目標はないんだよ。」


「それって、どういう意味かしら?」


「今日からはひび割れがあるであろう場所に長々と目指すだけであって、その場で休めるところがあったら休んで、次の日にまたそこに目指すって感じ。」


「そこに向かって歩いて行くだけか?結構早めに脱出できそうだな。」


「″なにも問題が起こらなかったら″そうなるね。」

一気にその場の空気が凍り付く。


「とりあえず、僕たちはこれから結構遠いところに行くから、気を強く持てよって話。国の本部にバレるのも時間の問題だ。」


「確かに…ここら辺なら町から1個移動しただけだから運がわるけりゃすぐに追いつかれるわね…」


「あ、う、うん、…そうだね。」


「…それを言ったらガンダ…お前、休みはどれぐらいとれたんだ?」

そうだ。ガンダの休みのことすっかり忘れてた。取れた休みの日で、どこまで遠くいけるか左右される。


「わりぃ…とれても3週間程度だった…」


「…マジか…」

ミディはさらに頭を悩ませる。


「その場所につくまで、どれぐらいの時間がかかるの?」


「早くて1ヶ月程度と予想してたんだけど、どうなるだろう…」

全員がへこんでいたその時。


~やあ。喋るのは久々かな?ミロワ、ミディ、ネグ、ガンダ~


本に文字が浮かび上がってきた。

「うわ!!なにこれ!!」


~そうか、ネグ。キミはこれを見るのがはじめてだったね。驚かせたことに謝ろう~


「私の声聞こえてるの…?気味が悪いわね…」


~急ぎの話だ。単刀直入に言わせてもらう。ガンダの休みの件だ。ガンダは確かに休みは3週間程度しかとれなかったようだ。でも安心してくれ~


「安心って、なにに安心すれば良いのさ。」


~そんなに期待はしないでほしいが、ガンダの携帯から3週間休んだ後に、そのあと体調が悪いという連絡を入れ、あともう1週間ほど休めるように細工をしておいた~


「は?俺のプライバシー侵害してんじゃねえよ。」


「いや、でも1週間は休みが増えるってことは、行動できる日にちが増えるってことよね!?確かに、プライバシーの侵害にはなるけれど、中々いいことをしてくれたんじゃない…!?」


「ただの本のわりには凄いじゃないか。」


~かと言って警察はいつ動くかわからない。これからも慎重に進むように~


そう言って本の文字はすぅー…っと消えていった。


「確かにいいことだけど、俺は勝手に携帯に入りこんだの許さねえからな。」


相当怒ってるみたい。

でも日にちが増えたことは私的にも嬉しい。

そこから話し合った結果、1ヶ月の間にひび割れがあるであろう予想地にたどり着くことを目標に、私たちは進むことにした。


なにも起きなければいいんだけど…

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