第31話 チェックポイント
それから何時間歩いただろう。
私たちはやっと黄金の光がぽつぽつと見える町から抜けだした。
ここはさっきの町と違って光っているものが一切なく、シーンとしている。
薄暗く、建物の破片などが至る所に点々と落ちているだけ。
町1つ変わるだけでこんなに変わるものなんだなと思った。
「やった!!やっと着いたわ…!!」
「はぁ…長い道のりだったな…」
「と言っても、ここで寝るのはなあ…なにもないし、ちょっと寒いし、敵に襲われたら1発KOだよ。」
「確かに、少しでも風をしのげるものとかないかしら…」
と全員が頭を悩ませている間、私は慣れない土地で少しキョロキョロと周りを見回していた。すると、
「ね、ねえ!みんな!!あそこに良い感じの壁があって、風が当たらないようになってるよ、!!」
そう言って私は指を指す。
「あら!ほんとだわ!!しかも木みたいなのが固定されてて、敵の視界にもうつらないよう工夫されてるわ!!」
「ここに誰かいたのか?というか、ここなにかの部屋の中みたいな感じだな。」
「お、ガンダ、良いとこに目をつけたね。そう。ここは元々とある貴族が住んでいた城の″入り口付近″だ。」
「そうなのか?それを見越してここに来たのか。」
「話が早いね。そう、今は誰も住んでいないであろうこの城をチェックポイントにした。ここがなんのお城かは知らないけど。」
「知らねぇのかよ。でも、この木の固定のしかたは明らかにあとあとにつくられた人工的なやつだろ。」
「確かに。ここでなにかあったのかな?」
「ねえ!!そんなことより早く休みましょう!!私とミロワはもうくたくたなのよ!!」
そう言ってネグは倉庫からレジャーシートとブランケットと枕を取り出した。
「ネグ、枕も持ってきたの?」
「私どうしても枕がないと寝れなくてね…
というか私は着かれたから先に寝るわ!!おやすみなさい!!」
ネグは明日の予定も聞かずに寝てしまった。よほど疲れていたのだろう。
「というか、ネグが寝転んで寝たら僕たち寝る場所なくなったくない?」
「た、確かに…2分の1ぐらいの場所がなくなっちゃったね…」
「とりあえず、俺は座って寝るからミロワとミディは話し合って決めてくれ。」
「うーん…それじゃあ僕も座って寝るよ。ミロワも疲れてるでしょ?」
「あ、えっと、う、うん。そうだけど…2人が座って寝ても、私寝転んで寝れなさそう…」
「あー確かに、このスペースじゃね…」
「…ミロワには申し訳ないが、今日だけ座って寝れるか…?俺でも、ミディにでも寄りかかってくれて大丈夫だから。」
「いや、全然!!それじゃあ私も座って寝るね!!」
各自でブランケットを倉庫から取り出した。
(やっと1日目が終わりか…ここまでくるだけで色んなことがあったなー…)
そんなことを思いながら眠りにつこうとした。
…と言っても、慣れない環境でそうすぐには寝れない。
ガンダとネグのほうを横目にやると、2人は
爆睡していた。ネグはわかるけど、ガンダは朝も結構寝ていたのに、凄い睡眠欲だな。
そして、ミーシィのほうにもチラッと目をやる。
……寝ている。彼も朝寝てたはずなのに…
(にしても、ほんと整った顔…睫毛長いなぁ…)
そう思いながら彼のジーーーっと見ていると
「…なんか僕の顔についてるの?」
「ウワッ、!」
「そんなにジロジロ見られたらこっちも寝れないよ。明日も不安?大丈夫だよ。僕がいるんだから。」
「ご、ごめん…」
「別に謝ることでもないよ。とりあえず早く寝なよ。明日も長旅になるよ?」
「う、うん。わかった。」
ミディと少し会話をした後に、私は目をぎゅっと瞑った。確かに明日が不安だった。でも、ミディの言葉のおかげで少し不安はなくなった。
安心すると、だんだんうとうと眠たくなってきた。そして気づけば私は眠りについていた。
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