第30話 変人でけっこう

(ど、どうしよう!!)


もたついている間に警察に見つかってしまった。まだ私たちが誰かなのかはわかっていないようだ。


「うーん…ローブで顔が見えないな…というかお嬢さん?髪が白くて綺麗ですね」


(う、嘘!!私、髪でてた!?)

わたしは一気に冷や汗をかく。


「最近ポストーとかでよく見るようになりましたよねえ。

なにをしたかは知りませんけど、指名手配されている少女。髪が綺麗な白いロングヘアで…」


と私の噂はもう結構広まっているようだ。


「まさか、お嬢さんが指名手配の人だったり…??なんてね!!」

そう言って警察はハハハ!!と大きく笑った…


「というかお嬢さん…本当に指名手配のポスターの人と特徴ばっちり当てはまっちゃってるね…もしかして…本当に本人だったり…?」


警察が私のことを睨む。

そして私からローブを引き剥がそうと、ヌッと私の頭に手が伸びできた。


「あーー!!待ってください!!警察さん!!」


そう言ってローブを脱いで警察に声をかけたのはミディ。

(ミーシィ!!なにして、!)


「あ、お前はここら辺…に住んでるキチガイ発明野郎…」


「なんですかそのあだ名は。というか、僕の発明品には触らないでくださいよ。」


「発明品?これが?」


「はい。発明品です。散歩中だったんですよ。ここら辺を。」


「なんでこんな野蛮なところ散歩してんだよ。」


「スリルを味わいたかったので。」


「なんだそりゃ。本当に指名手配のやつじゃないのか?」


「違いますよ。確かに髪型とか背丈は似てますけども。」


「本当か?それじゃあそのローブを外してみろよ。」


(ヤバイ。今度こそ終わった。こんな最初のところで捕まるなんて、やだなあ…)

と覚悟を決めたその時。


「だから!!発明品には触らないでくださいっていったでしょう!!僕以外の人が触ると攻撃体勢に入るのでやめてください!!」


「はあ?なんだその機能。」


「というか、僕家帰るのにちょっと急いでたんでさっさと帰らせてください。こいつらのメンテナンスも兼ねてるんで。」


「お前は噂通り変なものばっかつくるなあ…もう良い。変な奴を相手しても同じだ。さっさと行け。」


「ありがとうございますー」


そう言って私たちはミディについて行くようにサササッと早足で通り抜けていった。


「…フー!危なかったわね…!!流石あんた!!たまにはやるじゃない!!」

「お前が変人のおかげで助かったぜ!!!」

「あ、ありがとう、ミーシィ」

と3人が一斉にミディを賞賛する。


「君たちそれ褒めてないでしょ。不名誉にもほどがあるよ。」

とミディは言ったが、少し満更でもなさそうだ。


「というかさっきの警官、ミロワがバレてもヤバかったけど、お前がバレてもヤバかったんじゃない?」

ミディはガンダのほうを指さす。


「あれ?よくわかったな。」


「だろうね。ぶっちゃけのこと言ったら、ああいう場面では僕より君のほうが早く行動するはずだ。

なんで僕が行動するのを待ってたんだい?」


「いや、実はあの警官、俺の部下の知り合いで、俺も飲みに行ったことが何回かあったんだよ。そこで俺がバレるとさ、ほら、ややこしいだろ?」


「…ここには危険人物しかいないわねぇ…」


「ごもっとも。俺を除いて」


「ガンダもよ。」


「とりあえず!!このまま先に進むよ!!そして、チェックポイントについたら一旦休憩だ!!急ぐよ!!」


「あー!やっと休憩することができるのねー!!ここまでも地味に長い道のりだったわー!!」


「ちょっと、まだ歩きはじめて町も出てないよ。」


「ハハッ!ネグってば疲れるの早すぎだろ!!」


「あんたたちは寝てたけど、私は今日ずっと起きてたのよ!!早く寝たいに決まってるじゃない!!」


「ごめんごめん」

謝るミディに対して、ネグがぽこぽことミディの事を叩いている。

2人って本当に仲良しだなー…ガンダもそりゃ仲良しだけど…


「おい、なにボーッとしてんだよ。置いてくぞ。」


「あ、ごめん」


私たちはこの町を出るために、長い道をひたすら歩いた。

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