第29話 油断大敵

「…お前なあ…」

ミディが呆れた顔で睨んでこっちを見た。


「ご、ごめんなさい…!!い、今のは誰だったの…?」


「今のが、奴隷商人だよ。わかる?」

あぁ…完全にブチ切れてる。もうダメかもしれない…チョコケーキで巻き返した好感度は無意味になってしまったかもしれない。


「一応君が脱出したいって言ったんだからね?自覚してね?僕たち全員の命を君が背負ってること。」


「ハイィ…」


「ちょっと、そこまで言うことないでしょ?ミロワはまだ子どもなのよ?」


「これぐらい言わないとわからないよ。」


「こんなことでぐだぐだしてられねえ。早く行くぞ。」

ガンダがそう言って立ち上がった。

それに続いて私やみんなも歩くのを再開した。


「…いきなり災難だったね…」


「そうだな。でもこの町は別に特別広いわけじゃない。すぐ出られるさ。」


「そっか…」

なんか、ガンダって最近思ってたより優しいな~…とかボーッと考えていると、


ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン


「?」


「機械流星群体だ…あれは捨てられたやつか?それとも監視…?」


「うーん…わかんねえな…とりあえず様子見じゃねえか?ここで揉めたら警察くるかもしれねぇぞ。」


「確かに…すぐそこからもう町を出れるのに…面倒臭いわ…」

みんな驚くほど詳しいし、慎重だな。私1人だったら即死なのがわかる。不甲斐ない。


「…こんなところで時間食うわけにもいかねぇし、ここはとっととここを突破しないか?」


「ええ?どうやって?」


「襲ってきたら逃げる。監視なら素通り。普通の徘徊してる流星群体でも素通りだ。」


「うーん…危険だけど私もガンダの意見に賛成。そろそろ安心して寝れるところに行きたいわ。」


「どこも安心はできないけど。でも、そうするしかないよな…」

ミディは顎に手を当て考え事をしている。


「よし、それじゃあ【せーの】の合図で行こう。これで襲ってきたらガンダはミロワを抱えて逃げて。僕とネグが数分囮になってから僕たちはテレポートで道を辿る。そしてここでまた集合だ。」

ミディは地図を指さす。


「監視だと気づいたらミロワの肩か俺の肩を2回叩いて。わかったら直ちにここから去るぞ。」


「わかった。それじゃあ行きましょう。」


「うん。せーの」

と言ったあと機械流星群の前に私たちは姿を現した。私たちがでた瞬間、流星群体は一斉にギロリとこちらを向いた。


「…」

私は見分けがつかないから3人の後ろに隠れることしかできない。心臓がバクバクだ。


(どうしよう、襲ってきたら…)


心臓がドクドクいっている。その時、

ミディが私のほうを振り向き、肩を2回トントンと叩いた。


「え、か、か!?」


「ああ、ごめん。違う違う。なんか真剣そうにしてたから。」


「な、なんだ…」


「ちょっと、私たちまでびっくりしたじゃない!!」


「そうだぞ、お前…」

とネグとガンダも驚いてたようだ。

私だけじゃなかった。良かった…

というかミーシィもほんと意地悪なんだから…


「ごめんごめん。でもあれは徘徊してるだけだから、ほんとに素通りで大丈夫だよ。」


「良かった…それじゃあ早く行きましょう。」

ネグがそう言い足を前に出した途端!!


「あれ、君たち、こんな夜中になにやってるだい?」


「マジか、」


「嘘でしょ…」


もたついている間に、警察に見つかってしまった…!!!

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