新年の死の恐怖。その正体や如何に?

与方藤士朗

元旦。突如襲い来た死の恐怖。その正体は・・・?!

2023年12月31日。

 私は、1年ぶりに関西圏に出向いた。

 昨年のおおみそかと同じホテルの同じ部屋。

 同じ絵が飾られている。写真を比較した上で確認。


 一番のポイントは、これ。

 その部屋の窓。最上階の東向きのシングルルームです。

 1年ぶりの初日の出に出会うにはおあつらえ向きの場所。

 昼過ぎに出てきて、食事を済ませ、一杯飲んで、部屋で仕事。

 適度に飲みつつ仕事して、少し寝て、また起きだした。

 そろそろ、日付が変わろうとしている、そんな時間だった。


2024年1月1日。

 日付代わりからしばらくの頃まで、テレビをかけつつ仕事。

 改めて横になり、起きたら朝6時過ぎ。

 大浴場の風呂につかり、スタンバイ。

 この日私は、兵庫県姫路駅前のホテルで初日の出を見て、10時まで仕事し切ってチェックアウト。

 予定通り、神戸のサウナに向った。

 天気は、晴れ。まさに、新春にふさわしい一日となりそうだ。

 予定通り、三ノ宮駅で新快速電車を降り、カプセルホテルのあるサウナに。どういう所用かは、ここでは省きます。


 所用をしているとき、突如、変な感情が胸を横切った。


 あの上から飛び降りたら・・・。

 まして、このビルの6階から・・・。


 そんな感情が胸をよぎったことは、これまで一度もなかった。

 まして、正月の元日なんかに。

 その正体、誰かに言えるわけもない。話せるわけもない。

 黙って、その恐怖を受け止めるしかない。

 ぞっとした。本当に、ぞっとした。それしか、言いようがない。

 マジ、恐ろしかった。


 所用が終り、カプセルホテルにチェックインした。

 サウナに入りつつビジネスルームでちょくちょく仕事。

 詩作に短歌にエッセイに、執筆をする。

 この年末からずっと、書入れ時と称して書きまくってきた。

 昨日も、姫路のホテルで書きまくった。

 今日も、ぼちぼち、書きまくり。正月こそ、書入れ時!

 仕事は、上々にはかどる。


 先ほどの恐怖、とりあえず消えた模様。

 単に気がまぎれる程度の話ではない。仕事には集中できる。

 ほどほど仕事して、またサウナに入り、水を補給。

 そして、飲み放題でビールを飲む。

 軽くつまみをつまみつつ、ひたすら、ビールを飲む。

 飲み放題の時間一杯飲みまくった。

 締めは、久々の雑煮。白みその上品な雑煮だった。旨かった。


 適度に飲んだので、カプセルに入って一休み。

 よく寝られた。


2024年1月2日。 

 夜中に起きだした。

 なんかまた、暗いカプセルの中であの恐怖がやって来た。


そういえば、この年明けで数え年の・・・。


 頭の中ではわかっているのだが、実感はそう沸いてこない。

 改めてサウナと水風呂を繰り返した。

 その後、少しだけビジネスルームでメールチェック。特に異状なし。

 そしてまた、カプセルに。

 今度は、変な夢を見た。初夢というにはおめでたいとは思えぬ夢。

 もっとも、汗をかきまくるほどの恐ろしい悪夢というほどでもなかった。


 夜が明けた。

 バイキングの朝食を食べ、また少し仕事。

 もう一度風呂に入り、少し早めにチェックアウト。

 それから三ノ宮駅に移動し、新快速と普通列車を乗継して岡山へ。

 よく思い出してみれば、昨年とまったく同じルートの同じ列車だった。


 自宅に戻り、さらに一仕事。

 これまでの著書の紹介動画を一気に作った。

 その後、いつも行く寿司屋に行って、ヱビスビールを3本飲んだ。

 特に、ここまでは異常はなかった。

 しかし!


2024年1月3日。

 朝。起きるとなぜか、調子が悪い。

 とにかく寒気がする。

 時間を見て駅前に出向いて買出しと朝食。

 しかし、寒気がする。これはちょっとやそこらのシロモノではないぞ。

 早めに切上げ、自宅に戻った。

 その後は、ひたすら、横になっていた。

 トイレに行くときと、メールチェックをする以外、ひたすら、横に。


 ま、明日には何とかなるだろう。

 一縷の望みを胸に、さらに横になったまま、寝た。

 異常に汗をかくなぁ・・・。

 幸い、死の恐怖のようなものはなくなった。

 正月3日目にして、禁酒日発生。

 とてもではないが、酒どころじゃないぞ、これは。


2024年1月4日。

 死の恐怖は、戻ってきた気配はない。

 しかし、体の調子は昨日並。もはや、食欲もない。

 点滴代わりに、自宅前の自動販売機で甘酒を買って飲んだ。

 甘酒は久しぶりだぜ。

 確か、選挙の事務所開きのときだったっけ。

 でも今回は、朝食代わりの点滴代用食。

 缶の甘酒を飲んだが、やはり体調は思わしくない。


 今日から始まる病院に電話。昼一番14時に来いとのこと。

 これで幾分助かった。しばらく、横になれる。

 昼が来た。やはりしんどい。横になったまま。

 時間が来たので、とにかく起きだして病院に。

 しばらく待たされる。

 普段ならどうということもないのに、

 こんな日に待たされるのは、実に、辛い。しんどい。辛い!


 30分は待たされたろうか。

 検査の結果が出た。

 謎のテスターのような代物を提示され、説明を受ける。


A型インフルエンザ


 なのだそうです。そりゃあんた、エライわ。

 人間は人間でも、身分じゃなくて生身の体が。

 金になるかと言われても、なるわけないわ。

 そういうわけで、いつもの薬と今回の薬を隣の薬局でもらって、帰宅。

 この週末まであと最低2日は休め、稼ぎは安めになるよとのお達し。

 いろいろな意味で、やすめになったの巻。掛詞絶賛発動だぜ。


要するに、自宅病院に正式入院と相成りました。


2024年1月5日。

 この日も、朝は点滴代わりの甘酒。これで、2日目。

 昼前に、よく行く喫茶店に行って、カレーと珈琲。

 この店ののカレーは辛くなく、量もそうないから、こんな日にはちょうどいい。

 少しは楽になって来たか。

 だけど、まだ、しんどい。

 後々のことを考えて、少しでも起きていられるように、リハビリも開始。

 この日も、禁酒してじっくり休みました。


2024年1月6日。週末の土曜日。

 この日も、朝は点滴代わりに甘酒。これにて、3日連続甘酒。

 少しずつ動けるように。動けなくても、起きて椅子に座って何かしよう。

 そんな感じで、動きの可動域を増やしていきます。


 雨の合間を縫って、布団を干しました。

 この3日間の汗が、びっしょりと裏側にまで湿りを与えています。

 正直、かなわんなぁ。


これが、死の恐怖の抜け殻なのか・・・。


 雨の合間を縫って干した布団、何とか、水分を飛ばせました。

 結局、この日も禁酒しました。


2024年1月7日。週明けの日曜日

 今日は、七草粥の日。

 朝から早速、プリキュア御意見番の活動。

 体は、ほぼ正常に戻った。

 某デパートに行って七草粥を買って来ようと思ったが、行けぬまま。

 食べるほうも問題なし。点滴療法は終了。

 昼には、習志のの激辛カツカレー大盛。食欲は絶賛大復活。

 結局この日から、酒、再開。

 翌日は祭日。まあ、ぼちぼち、やっていこう。

 この日、酒を飲みながら、少しばかり考え事をしてみました。


あの「死の恐怖」の正体は、

いったい何だったのだろうか。

この問いに答える前に事実確認。

自分自身の数え年が今年で56歳。

満年齢は54歳で誕生日にて55歳。

それはいいが問題となる事実はこちら。

私ではなく、私の父の父たる祖父のこと。


父方の祖母の享年は、数えで51。

こちらはとっくに過ぎている。

父方の祖父の享年。こちらが56。

1976年2月死去。私が小学校に入学する寸前のできごと。

その頃私は、養護施設の幼児部屋に放り込まれていた。

思い出したくもない黒歴史である。今でも心底、虫唾が走る。

あれはあれで、死の恐怖だったな。だが、それはもうよかろう。


問題は、今の私の数え年。56。

父方の祖父に、実は、あの日、追いついていたのである。


 そうか、そういうことだったのか!


 あの「死の恐怖」。

 私を死に追いやる代わりに、インフルエンザに罹患させた。

 ある意味あの恐怖は、厄除けだったのだろうな。


 しっかり気をつけて長生きしろという、祖父からの激だったのではないか。

 そう、父の父たる祖父からの、

激励の「喝!」

 だったのであろう。

 いや、そうだったのだ。

 間違い、ない!

 そうと分かれば、心して生きていくしかない。


 あの「死の恐怖」の正体、これにてエウレカ!

 わかれば、あとはそれに対処していくのみである。

 そう、前進あるのみ。

 

以後、あの「死の恐怖」が、私のもとに襲い来ることはない。

無論、その感情の行方は、私も知らない。

私の知らないものは、いうまでもなく誰も知らない。知りようもない。

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