第6話
もうこれ以上何をやれと言うんだ。
憎んで、悔やんで、殺してしまえたらどんなに楽だっただろう。父親の愛した音楽を、その世界ごと何もかも壊して跡形もなく燃やし尽くしたかった。楽器を何度暖炉に投げ捨てようとしたかわからない。
苦しい。辛い。
あの色を見るだけで、喉を鷲掴みされたみたいだ。
「31日、公開練習にあわせて日本に来る。
やれるなら、お前も来いよ、凌。」
「......やれるなら、ね。」
そんな簡単なことだったら
はじめから苦労してない。
北風と水蓮、 葉月結花 @sayu_yoshihara_08
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