おまけは濡羽色
黒歴史クリエイターは体質。その考えは私の黒歴史がDNAに多分に負いそうな事実から来る。
私は少なくとも「二代目」だ。
両親は結婚して一年以上、子供を授からなかった。不妊は女性が責められる時代、母は辛かったらしい。第一、母に問題があると誰よりも思っていたのは父だそうだ。
ところがである。
彼女はまだ処女だった。
だから、子供ができるはずもないことを母は認識していたが人に言えず、嫌味にも沈黙するしかなかったらしい。姑が縁故から権威ある産婦人科医への紹介状を入手し、母は実母に付き添われ通院を果たしたらしいが、そこで初めて明かされる性交のない事実。父が来院するよう言われたそうだ。当然だろう。しかし、病院に行くのを渋る程、この期に及んで自分が原因と思っていなかった父。
流石、私の親だ。間違いない。これに気付いた時、私は父の子であることを確信した。
この話は私が幼児期、母から姑に関する愚痴として聞いたので勿論、この様な明け透けな語られ方はしていない。だから、ある時まで全く理解していなかったのだが、例のイニシエーションを過ぎ、あれこれ人生経験を積み重ねた時、私に天啓が降って来る!
そうか、そういう意味か。
両親よ、記憶力抜群の娘で申し訳ない。幼児と油断した大人の話したことを私は片端から覚えている。今こそそれを解読するスキルが宿ったのだ。
そんな感じだった。
気の毒なのは何も語らなかった亡父が酷い黒歴史を晒されていることだが。
ダディ、可愛い娘の楽しい作文生活の肥やしになれるなら、それでも幸せだろうと信じてる。ダディ生前の人間失格ぶりはこれでチャラにするので成仏しているように。
でも、思う。父こそユニコーンかもしれない。
あのリアルを生きていない生き物は生態が似ていた。私はユニコーンの子だから、あんなにユニコーンに拘ったのかもしれない。
ここまで書いておいたなら、十二年後、カクヨム
この世に顕現するには仕込みが要る。
ハッピーバースデー!
マリアとユニコーン 小余綾香 @koyurugi
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