読了したので書きます。
こい先生というとリュリュエルの物語が代表作なのでコメディ色が強いのかと考えておりました。
しかし、本作『見上げて青いそら』は予想とはまるで違いました。等身大の高校生たちが映す青春の日々はとてもリアルです。
コンプレックス、挫折、叶わない願望、恋愛、仲違い、低い自己評価……。
今でも悩む問題ですね。ぶつかりまくりです。それでも、読んでいていあの時間で自分も経験した心情や出来事と重なって「嗚呼……」と思ってしまいました。全力で色々なものにぶつかっていた光景が蘇りました。
あの時間、あの日々。もう一度と思う方には是非ともお勧めしたいです!!
桜舞う高校の入学式からスタート。
主人公の女の子は、本番に弱くて、友達も作れないと思っている小さな女の子。
愛猫の死や、志望校に合格できなかったことで、中学校で仲のよかった友達と一緒に高校生活ができなくなったりと……ドキドキするなかでのスタート。
ちょっとした事件があり、そこで知り合った同じクラスのメンバーと……。
色々なことに悩んだり、泣いたり、笑ったり。
アオハルならではの物語。
男女7人なのか6人なのか4人なのか……それとも?
高校一年生の恋。
甘いだけじゃなくて酸っぱい、しょっぱいシーンもあり。
彼ら彼女らの卒業まで見守りたくなるようなキュンな物語でした。
アオハルならではの「心が揺れ動く」の感じが強く伝わってきて、登場人物に深く感情移入せずにはいられません。
主人公の大森結安はちっちゃい女の子。結安は高校で「こまりちゃん」というおっきな女の子と知り合います。
こまりちゃんの幼馴染である蓮くん、そしてイケメンで誰にでも優しい蒼空くんとも親しくなり、まさに青春な充実した時間を送ります。
大きな体のため「おおまり」なんて蓮くんからあだ名され、そのことで色々と葛藤しているこまりちゃん。こまりちゃんと蓮くんはお互いを大事にしつつも「身長差」とかがネックになってどうも踏み出せない。
一方で蒼空くんとは順調に仲良くなっていく結安だったけれど、蒼空くんはどうも「恋愛」というものについて躊躇している様子も。
引っ込み思案だった女の子が親友や「気になる男の子」を得て、少しずつ「前に進む勇気」を獲得していく。その姿が強く共感させられて、「頑張れ!」とすごく結安ちゃんのことを応援したい気持ちにさせられます。
こまりちゃんと蓮くんの関係はいかに? 蒼空くんと結安ちゃんの今後はどうなるか?
蒼空くんの事情も次第に見えてきて、彼が抱えている葛藤を想うと苦しい気持ちにも。だからこそ、結安ちゃんも蒼空くんも絶対に幸せになって欲しいと強く思わされます。
友達も増え、少しずつ人間的にも成長していく結安ちゃんたち。そんな彼女たちに強く感情移入させられます!
『見上げて青いそら』は、等身大の高校生たちのきらめきと陰り、そのどちらもすくいあげる瑞々しい物語です。小柄で内気な結安、明るくて強がりなこまり、幼馴染の蓮、そして優しい渡合たちの瑞々しい青春模様が心に沁みるのは、こまりと結安の距離感は、誤解で離れ、対話で近づき、また小さな揺れに翻弄される。その一つ一つが等身大だったりするからなのでしょう。
バタークッキーや手ごねハンバーグのぬくもり、雨に濡れた放課後の傘のぬくもり……登場人物たちの交わす優しさや、ときに痛みをともなう言葉たちが、まるで心にそっと触れるよう。友情、恋心、嫉妬と優しさがまじりあう青い季節。その中で少しずつ「自分」と「他者」の輪郭を見つけていく四人の姿に、つい心を重ねてしまいます。
まだ誰も本当の「こたえ」を知らない。だからこそ、一歩踏み出す勇気が輝く。やわらかく切なく揺れる彼らの青春――続きが待ち遠しい、そんな物語です。
桜舞う春の日に、高校の入学式で出会った大森結安と渡合蒼空。
内気で本番に弱い結安は、ちょっとしたハプニングから渡合くんと関わり、彼の優しさに触れることで次第に惹かれていく……
当初は、飼い猫の死や志望校への不合格という二つの「散る」ことで心を閉ざしていた結安。しかし、渡合くんや親友のこまりちゃん、こまりちゃんの幼馴染の蓮くんとの出会いを通じて、彼女の世界は色鮮やかなものへと変化していく……
渡合くんの隣にいるだけで胸が高鳴り、彼の一挙手一投足に心が揺れ動く。そんな彼女の感情の揺れ動きが、まるで春風に舞う花びらのように繊細に描かれています。
また、本作は主人公の結安ちゃんだけでなく、こまりちゃんや蓮くん、渡合くんそれぞれの視点からも物語が語られており、すれ違う想いや秘められた過去が明らかになるたびに、物語の奥行きが増して感じられます。
誰もが抱えるコンプレックスや葛藤が丁寧に描かれ、キャラクターたちの心の成長を感じられる点も魅力的です。
この物語は、甘酸っぱい初恋のときめきだけでなく、友情の温かさや、自分自身と向き合うことの大切さを教えてくれます。
心を解き放ち、一歩踏み出す勇気をくれるような、爽やかで優しい青春ストーリーです!
お勧めしたい作品です!
是非、ご一読を!