影絵


岩脈は灼かれながらにぎっしりと祈りの島の髄をつらぬく



左手をかざせばわずかに崩される濃淡 あかいまひるの径の



還ってしまう どこへ なにが 森閑のあなたの胸をうっすら透いて



指差してはじめて浮きあがる時間その一点をやまぬ流水



切っ先が前兆となるしろがねの風にことばや舟を渡した



よみがえる 夏という名のしなやかな裸身、なんども光を脱いで



ゆらゆらと声のあつまる対岸に掬われたくてちりぢりの骨

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連作サークル「置き場」 石村まい @mainbun

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