第20話 レティのハツコイ
あたし、もう今年で十歳になったわ。
その間に、色々あった。まず、レン母さんとカール父さんにはあたし以外にも三頭の子シャチが生まれたの。ちなみに三頭の内、すぐ下の子があたしと同じ女の子でね。名前をカロンと言った。
三番目に生まれた男の子はレオと言って、末っ子がテオというわ。けど、今はあたしのオバに当たったロロ姉ちゃんやマミ姉ちゃんはいない。
二頭共に、別の水族館に行ってしまった。あたし担当のカワさん曰く、二頭共子シャチがたくさん生まれているらしい。そう、カワさんが教えてくれた言葉だと「お嫁入り」したのだとか。
また、あたしとカロンは残っているけど。弟のレオとテオも別の水族館に引っ越していた。寂しいけど、仕方ないかなと思っている。
『あ、レティ姉ちゃん。レオやテオ、元気にしてるかな?』
『……してるわよ。けど、なんだか外が騒がしいわね』
『本当だね』
妹のカロンと話していたら。カワさんがやってきた。
「レティ、おいで」
『キュ?』
あたしは鳴いて、カワさんの近くに寄る。水面から頭を出した。
「今日にね、新しい仲間が来たんだ。男の子でね、名前をロンと言うんだよ。仲良くしてあげてくれな」
『キュイー』
あたしが返事をすると、カワさんは頭を撫でてくれた。タンカに乗せられて、大きめのシャチがサイドプールに運ばれる。
あたしはカール父さんが来た時の話を思い出したのだった。
新しい仲間らしいロン君はあたしにも積極的に声を掛けてくる。
『初めまして、僕はロン。君は何て言うの?』
『初めまして、あたしはレティよ』
『へえ、レティちゃんって言うんだ。よろしく!』
『……よろしく』
ロン君は割と、グイグイきた。あたしは父さんより、軽いなと思ったけど。イヤではなかった。
後に、あたしはロンと仲良くなるのだけど。これはまた、別の話になるわね。
レン母さんとカール父さん、あたしにカロン、ロンの五頭でパフォーマンスを頑張るのだった。
――finish――
シャチのレン 入江 涼子 @irie05
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