第19話 レティの悩み

 あたし、スイゾクカンで生まれたシャチなの。


 名前はレティ、トシは二歳よ。母さんはレン、父さんはカールというの。他に、トシの離れた姉ちゃん達がいるわ。レン母さんの妹さん達なんだって。

 名前は上の姉ちゃんがロロ、下の姉ちゃんはマミというわ。レン母さんはあたしをこのスイゾクカンで生んだの。

 昔はカール父さんはいなくて、母さんやロロ姉ちゃん達だけだったんだって。けど、カール父さんがやってきてね。レン母さんとパートナーになった。そして、あたしが生まれたから今は五頭のオオジョタイだってルーさん達が言ってた。


『レティ、今日もパフォーマンスの練習をしない?』


『うん、分かった。母さん』


 あたしが頷くと、母さんは一緒にルーさんの所に行く。あたしにも担当のトレーナーさんがいる。名前をカワさんと言って、若い男の人なのよね。トシはハタチを三つくらい、過ぎているらしいの。

 今日はカワさんがお休みらしい。代わりに、ルーさんが担当してくれたわね。


「……レンにレティ、今日は。カワ君がいないから、私と一緒にトレーニングしようね」


『『キュー』』


「よし、じゃあ。ダンスしよ!」


 ルーさんはプールの中へ、綺麗に飛び込んだ。そして、水の中でサインを手早く出す。母さんがお手本とばかりにルーさんと一緒に、クルクルと回転した。ルーさんは母さんの胸ビレを両手に持ち、掴まっている。


「じゃあ、次は。レティの番だよ!」


『キュ!』


 あたしもルーさんのサインを読み取り、同じように水面に頭を出した。胸ビレに掴まってもらい、クルクルと回る。けど、母さんみたいにスムーズにはいかない。うーむ、やっぱりケイケンの差かな。

 ルーさんは頭を撫でてくれたけど。しょんぼりするのだった。

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